ある日、動物病院『ノヴァ・キャット・クリニック』で獣医をしているエレン・カロッツァさんに悲しい出来事が起こりました。エレンさんが7年間一緒に暮らしてきた愛猫の『ベニー』が、動脈血栓塞栓症により亡くなったのです。
エレンさんにとってベニーは完全に身体の一部になっていて、常に力をくれる大切な存在でした。ベニーはいつもエレンさんの養育活動を手伝ってくれて、母親のいない保護子猫達にたくさんの愛情を注いでくれました。
ベニーは毎回、率先してお父さんの役割を引き受けて、困っている子猫達の心を救ってきました。「ベニーはちょうど私が一番大変な時にやって来て、私のことを助けてくれました」とエレンさんが言いました。
「ベニーが亡くなった日、私の魂が彼と一緒に消えました。仕事を終えて家に帰っても、彼の姿はもうそこにはなく、自分の胸に大きな穴が空いたように感じました。」
エレンさんは悲しみに暮れながらも、動物病院にやって来る動物達の治療を続けました。「何かに専念している時は大丈夫でした。でも、ふとした瞬間に深く落ち込みました。ベニーはただの猫ではなく、私の全てでした。」
「ベニーは数匹の猫と一緒に私のそばにいてくれました。私は彼を失いましたが、いつかきっと彼が再び目の前に現れるように思っていました。でもそれがいつなのかは分かりませんでした。」
そして、ベニーが亡くなってから約1ヶ月後、エレンさんは保護施設『CGMFF』から、助けを必要としている子猫達についての連絡を受けました。
「その日、私の元に病気の子猫達についての連絡がありました。私がすぐに子猫達の写真を見ると、そこにはベニーによく似た5匹の子猫の姿が写っていました。」
エレンさんは子猫達に会えることに興奮しましたが、自分の心の準備がまだ出来ていないのではないかと心配していました。しかし、エレンさんがベニーそっくりの子猫達を抱え上げた瞬間、その出会いがちょうど良い時期だったことが分かったのです。
こうして子猫達との出会いを果たしたエレンさんでしたが、子猫達の中のひとりに特別なものを感じました。「私が子猫の『アンブローズ』を抱えた瞬間、彼が私の猫だと分かりました。」
「子猫達の年齢は約4週齢ほどで、まだ完全に性格が固まっていない時期でした。アンブローズも他の子猫達と同じように新しい環境や食事、トイレなどに慣れていく必要がありましたが、彼は他の子猫達とは明らかに違っていました。」
エレンさんがアンブローズを抱きしめると、アンブローズは一瞬でエレンさんの腕の中で溶けました。それはベニーの時と全く同じ反応だったのです。
エレンさんはベニーとアンブローズが本当によく似ていると感じました。アンブローズはエレンさんの家にピッタリとフィットし、アンブローズの行動の全てが心地よく、非常に親しみやすいものでした。
アンブローズはまるで赤ちゃんのように抱っこされて、エレンさんのポケットに入りながら一緒に移動することを楽しんでいました。アンブローズは毎回たくさんのミルクを飲んで、幸せそうに眠りに落ちていきました。
すっかりエレンさんのことが大好きになったアンブローズは、エレンさんと一緒にいること以上に幸せなことはありませんでした。アンブローズはエレンさんの胸にポッカリと空いていた穴を、幸せそうに喉を鳴らしながら埋め続けているのです。
「私はこれから始まるアンブローズとの冒険を心から楽しみにしています。私は自分に必要なものを知っていました。そして彼がそれを私に与えてくれました」とエレンさんが嬉しそうに話してくれました。
こうして大切なベニーを失ったエレンさんは、まるでベニーの生まれ変わりのようなアンブローズとの出会いを果たしました。完全にお互いのことを補い合っているふたりは、これからも一緒の時間を過ごしながら、お互いの心を温め続けていくことでしょう。
出典:thecatlvt/lovemeow