ある日、カナダのプリンスエドワード島に住むノルマ・ムーア・ディンウェルさんの家から、飼い猫の『ウィル』が突然姿を消しました。ウィルはひどい吹雪で道に迷ってしまったのか、その日以来、家に帰って来ることはありませんでした。
ノルマさんは家の周りを探しましたが、結局ウィルを見つけることはできませんでした。大好きなウィルにもう会えないと感じたノルマさんは、その日から深い悲しみに暮れたのです。
それから19ヶ月後。
その日、家の中で過ごしていたノルマさんが、なんと自宅の庭にウィルの姿を見つけたのです!
ノルマさんが玄関を開けると、ウィルは何事もなかったかのように家に入り、そのままベッドに向かいました。「彼は自分の部屋がどこにあるかを覚えていました。私は彼の姿を再び見ることができて、嬉しくて堪りませんでした」とノルマさんは話してくれました。
ウィルは自宅に戻って来ることができましたが、この19ヶ月でウィルの命が削られたことは一目で分かりました。
「家族がウィルを見つけた時、彼の姿はひどい状態でした」と獣医のデイブ・リスターさんは話しました。ウィルの耳は凍傷を負い、栄養失調と脱水症状で衰弱し、全身が痩せ細っていたのです。
しかし、ウィルは自分を健康に戻すために、ご飯をたくさん食べ始めました。そのおかげで、2週間後には250gほど体重が増えたそうです。
また、ウィルは激しい抱擁不足にも苦しんでいたようで、自宅に帰ったその日から、常に家族にハグをおねだりするようになったそうです。
19ヶ月もの間、ウィルがどこで何をしていたのかは誰にも分かりませんが、ウィルを診察したデイブさんはいくつかの手がかりを掴みました。
ウィルはとても寒いところに長時間いたため、凍傷を負ってしまいました。また、ウィルは他の猫と一緒にいた時期があったようで、その時に耳ダニを移されてしまったそうです。
「ウィルは誰かにご飯をもらっているようには見えませんでした。彼はおそらく、自分で狩猟をしながら生き延びていたのでしょう。」
ウィルは何とか19ヶ月を生き抜き、自宅にたどり着くことができました。これから先、ウィルはもう行方不明になることはないでしょう。それは暖かいベッドと美味しいご飯、そして愛情溢れるこの家が、ウィルにとって一番安全で心地よい場所だからです。