今月の初め、保護団体『ブルックリン・キティー・コミッティー』はキャリーと一緒に歩道に置き去りにされた猫の写真を受け取りました。猫はキャリーの中でうずくまりながら、恐怖に固まっていました。
保護団体のスタッフ達は猫が見つかった地域で活動している保護団体『グリーンポイント・キャッツ』に連絡をして助けを求めました。「この可哀想な猫はキャリーに入れられて何時間も怯えていました。キャリーの扉は開いていましたが、猫は怖くてキャリーの中に留まり続けていました」とグリーンポイント・キャッツのスタッフが言いました。
グリーンポイント・キャッツのソーイエさんとアンバーさんはちょうど猫が発見された場所の近くにいたため、写真を受け取ってから数分以内に現場に到着しました。
ふたりはキャリーの扉を閉めて猫を保護すると、地元の動物病院へと向かいました。猫は病院に向かっている最中もずっと動かず、音も立てず、キャリーの隅でうずくまっていました。
グリーンポイント・キャッツのスタッフ達は保護した猫に『スレーター』と名付けました。スレーターは見知らぬ場所に困惑していて、撫でようとするとすぐに向きを変えました。
スレーターは非常に緊張していましたが、決して威嚇音を出したり、攻撃してきたりすることはありませんでした。スレーターの強い警戒心の奥には、愛されたいという気持ちが隠されていたのです。スレーターは何度か撫でられてご飯を一皿食べると、徐々にスタッフ達に打ち解けていきました。
そしてスレーターは次第に目に輝きを取り戻していって、甘い声で話しかけてくるようになったのです。
そんなスレーターのことを知った夫婦が、スレーターの養育主になることを申し出ました。夫婦はスレーターを自宅に連れて帰ると、スレーターがリラックスできるように必要な時間とスペースを与えました。
静かで快適な環境の中で、スレーターの行動はすぐに変わりました。スレーターは身の回りの探索を始めて、夫婦に近づいて挨拶をしました。さらに自信が出てくると背筋を伸ばして歩き回るようになり、自ら夫婦の気を引くようになりました。そして保護から数日で完全に自分の殻を破って、ハグ好きの猫へと生まれ変わったのです。
スレーターはソファーに乗って夫婦の横で丸くなると、腕の中に潜り込んで幸せそうにキスをしました。またスレーターは人間のお父さんと一緒に毛布に入って、そのまま眠りにつくこともありました。さらにスレーターは夫婦の真ん中に割り込んで、お腹を見せながら夢中で甘えるようになったのです。
すっかり今の暮らしに安心したスレーターは、いつも夫婦の優しさを感じながら、大きな音で喉を鳴らし続けているそうです。
こうしてキャリーと共に路上に置き去りにされてしまったスレーターは、優しい人達のおかげで新しい生活をスタートさせることができました。保護された時は恐怖で固まっていたスレーターでしたが、完全に心の中から未知への恐怖が消え去りました。スレーターは現在、自分が愛されていることを知っていて、幸せいっぱいの毎日を送っているのです。
出典:brooklynkittycommittee/lovemeow