ある日、1匹の子猫が保護されて、動物病院『ノヴァ・キャット・クリニック』に運ばれてきました。「子猫は衰弱していて、後頭部に柔らかいしこりがあり、神経に障がいがありました」と獣医のエレン・カロッツァさんが言いました。
子猫は身体がグラグラしていて、同じ年齢の子猫よりも随分と小さな身体をしていました。そんな状態にもかかわらず、子猫は生きようとする強い意志を持っていました。
エレンさんは子猫に『フィン』と名づけ、保護施設『CGMFF』の助けを借りて、フィンの治療を始めました。
フィンの身体を隅々まで調べた結果、フィンの耳の後ろの膿瘍(のうよう。組織のなかに膿がたまった状態)が感染症によるもので、先天性欠損症(原因に関係なく出生時に存在する障がい)や頭部外傷などによるものではないことが分かりました。
フィンはすぐに必要な薬を飲み始め、24時間体制でチューブによる栄養補給が行われました。
さらに他の治療法も組み合わせながら治療を続けると、フィンは立ち上がるために足を動かし始めました。まだフィンの身体はグラグラとしていましたが、本人は自分の身体の変化に喜びを感じているようでした。
そして治療を開始してから1週間後、フィンは自分でご飯が食べられるようになり、十分な強さを得ることができました。フィンは自ら歩く練習を始めて、毎日確実に成果を上げていきました。
「フィンは体重を増やし、他の子猫達のように歩くことや、身をかがめることを学び始めました。また彼はカゴの中でグラグラせずに立つ方法を身につけながら、周りの世界を興味深そうに観察していました。」
フィンはその後も努力を続け、少しずつ歩き方を上達させていきました。フィンは時々練習中に転倒することもありましたが、そのたびに立ち上がって再び歩き始めました。「治療から2週間でフィンは自分を直立させる方法を身につけ、さらに上手に歩くためにたくさんの努力を積み重ねました。」
フィンは次々と目標を達成し、ひとりでトイレも使えるようになり、離乳食も食べられるようになりました。
さらにフィンは新しい目標に向かって日々前進を続けました。それは他の子猫達と同じように歩いたり、ジャンプしたり、高いところに登ったりすることができるようになることでした。
「フィンは毎日進歩を続け、それと同時に愛らしい個性が輝き始めました。」
最初は立ち上がることもできなかったフィンでしたが、エレンさんのおかげで好奇心が旺盛な、エネルギーに満ちた子猫へと生まれ変わることができたのです。フィンは手の届く場所に登ることができるようになり、出会った全ての人をとりこにする愛らしい個性を開花させました。
行動範囲が広がったフィンは、毎日大きな窓のそばで鳥の観察をしたり、キャットツリーの高い場所から最高の景色を楽しんでいるそうです。
そして遊び疲れると、フィンは長時間のハグをしてもらうため、幸せそうにエレンさんの腕の中に収まるそうです。
最初の頃のフィンは座る時にも助けが必要な子猫でしたが、今はまるで自分がその場所を所有しているかのように部屋中を自由に歩き回れるようになりました。フィンは子犬の友達もできて、いつも楽しそうにレスリング遊びをしているそうです。
そして数週間の努力の末、フィンは十分な成長を遂げて、新しい家族の元に旅立つための準備を整えました。
フィンはエレンさんのおかげで膝好きの子猫へと成長し、人間や他の動物達とも仲良くなりました。
「フィンは本当に寄り添うことが大好きで、オンラインミーティンの最中も膝の上で過ごしています。彼はとても社交的な性格で、他の猫や犬ともすぐに友達になることができます」とエレンさんが話してくれました。
こうして保護された時は立ち上がることもできなかったフィンは、たくさんの愛情で生まれ変わることができました。フィンは他の子猫達と同じことができるようになり、安全な家の中で最高に幸せな日々を送っているのです。
出典:thecatlvt/lovemeow