何年もの間、厳しい寒さを乗り越えてきた猫が、カナダのモントリオールの路上で見つかりました。猫を発見した男性は、その日から毎日猫のためにご飯を用意して、階段の下に寒さから身を守るための小屋を作りました。猫はすぐにその場所が気に入ったようで、そこが自分の家だと主張するようになったそうです。
そんな中、近くに住むカロリーナさんが、その猫に出会いました。カロリーナさんは階段の隣で横になっていた猫のことが心配になり、猫の方へと近づいて行きました。すると猫はカロリーナさんを怖がって、すぐにその場から逃げ出しました。
「カロリーナさんは階段のそばで猫を見つけました。猫は非常に汚れていて、強い匂いがしたそうです」と保護施設『シャトン・オルフラン・モントリオール』のセリーヌ・クロムさんが言いました。
「カロリーナさんが猫の世話していた男性に話を聞くと、猫が数年前からここに住んでいて、いつも階段の下で眠っていることが分かりました。また猫は人間を近づかせようとせず、誰も信頼していないことも分かりました。」
その後、カロリーナさんは猫を救うための支援を求めて、TNR活動(野良猫の不妊去勢手術を行い、元の場所に戻す活動)をしているナディアさんに連絡をしました。「ナディアさんが現場に到着すると、すぐに猫が獣医さんの治療を必要としていることに気づきました。猫の耳は凍傷によって変形していて、常に頭が下を向いていました。」
「このままでは猫の命が危ないと感じたナディアさんは、猫を保護するためにその場に12時間以上も留まり続けました。」
ナディアさんは猫の世話をしていた男性の力も借りて、ついに猫を保護することに成功しました。そしてナディアさんはすぐに猫を保護施設へと連れて行きました。「私達は猫を受け取り、『フェルディナンド・ブリオン』と名づけました。彼は最初、身の回りで起こる全てのことを怖がっていました。」
「フェルディナンドの年齢は約8歳で、非常に痩せ細っていました。またFIV(猫免疫不全ウイルス感染症)を発症していて、口がひどく感染し、多くの健康問題を抱えていました。」
フェルディナンドは全ての歯を抜く手術を受けて、ボロボロになった毛を全て刈り取ってもらいました。するとフェルディナンドはとても気分が良くなったようで、リラックスしながら眠れるようになったのです。それはフェルディナンドがずっと望んでいたことでした。さらにフェルディナンドは甲状腺と胃の問題を解決するために、それから1ヶ月間ほど治療を続けました。
「フェルディナンドは必要な治療を受けて、確実に体重を増やしていきました。彼は再び美しい毛を取り戻してきて、社会化を学ぶための準備も整えました。」
その後、養育ボランティアのアルビンさんとモルガンさんがフェルディナンドを自宅へと連れて帰り、信頼を得るために動き始めました。
たくさんの美味しいご飯を食べさせ、多くの時間を一緒に過ごすと、フェルディナンドは徐々に物陰から出てきて、膝の上で過ごすようになりました。そしてしばらくするとフェルディナンドはついに、ハグ好きの猫へと生まれ変わったのです。
「フェルディナンドが私達の施設に来た時は、とっても悲しそうな顔をしながら引きこもっていました。彼はそれまでずっと野外で生きてきて、誰のことも信用していませんでした。」
「でも養育主さんのおかげでフェルディナンドは落ち着きを取り戻し、リラックスし始めました。彼は徐々に人間のことを信頼していき、ゆっくりと自分の殻から出てきました。」
フェルディナンドはこの数カ月で信じられないほどの進歩を遂げて、家の中で自信を持って過ごせるようになったのです。
「今のフェルディナンドはソファーで眠ったり、柔らかい毛布に寄り添ったりするのが大好きです。彼はまだあまり遊びませんが、時々オモチャで楽しんでいることがあります。」
フェルディナンドは現在、頭とシッポを高く上げながら家の中を歩き回り、猫の友達と一緒にソファーでゆったりとした時間を過ごしています。今のフェルディナンドはもう何も心配しておらず、家の中でリラックスしながら穏やかな毎日を送っているのです。
「フェルディナンドは最悪の事態を乗り越え、いつも満足そうに過ごしています。今の彼は快適なソファーで眠ることが大好きで、愛らしい姿をたくさん見せてくれています」とセリーヌさんが嬉しそうに話してくれました。
こうして何年もの間、厳しい環境の中を生き抜いてきたフェルディナンドは、優しい人達のおかげで何不自由ない生活を送ることができるようになりました。安全な家の中で長年の願いを叶えたフェルディナンドは、これからも幸せいっぱいの日々を過ごしていくことでしょう。
出典:Rescuechatonsmontreal/lovemeow