ある日、シアトルで保護活動を行なっているアシュリー・モリソンさんの元に、助けが必要な猫についての連絡が入りました。
「猫は元々、野良猫のコロニーで暮らしていて、人間に対して非常に臆病でした。でも猫はアパートに住む1人の女性と少しずつ仲良くなっていって、何度もアパートを訪れるようになりました」とアシュリーさんが言いました。
猫はいつもアパートの外で過ごしていましたが、ある晩突然家の中へと足を踏み入れて、そのまま滞在し始めました。そして1時間後にテーブルの下で5匹の子猫達を出産したのです。
女性は猫の親子を助けるために、すぐにアシュリーさんのところに連絡をしました。その後、女性から親子を引き取ったアシュリーさんは、親子のために静かな部屋を用意しました。しかし、母猫は慣れない環境に戸惑って、家の中から逃げ出そうとしました。
「猫はあまり人間に慣れていませんでした。そのため彼女は混乱して、壁を必死に登ろうとしました。」
それから丸一日、『モイラ』と名付けられた母猫は室内でアシュリーさんのケアを受けました。するとモイラは少しずつ落ち着いてきて、ご飯を食べるようになり、身体を撫でさせてくれるようになったのです。
「モイラが快適に過ごせるようになるまでには、それから何日もかかりました。」
しかし、保護から数日が経って随分と落ち着いたモイラは、アシュリーさんにお腹を撫でられると、もっと撫でて欲しそうにしてきました。モイラはたくさんの愛情を求めて、アシュリーさんに擦り寄りながら甘えるようになったのです。
「私がモイラを撫でていると、彼女は幸せそうに目を閉じます。そして私が撫でるのを止めると、彼女はアゴを私の手に擦りつけてきます。」
マイラはアシュリーさんが用意した特別なネコハウスをとても気に入りました。それは猫が出入りするために丁度良い大きさの穴が空いた、小さなバスタブでした。その中には親子が安心して過ごせるように、暖かい毛布が敷かれていました。
「私は薄暗くて狭い空間が、新しい環境に慣れていないマイラを落ち着かせるための最適な場所だと考えました。もし彼女が広い部屋で過ごしていたら、きっと子猫達を安全に保つために、いつまでも物陰に隠れていたことでしょう。」
そして保護から数週間後、臆病だったマイラは柔らかい毛布をこねながら、喉をゴロゴロと鳴らすようになりました。さらにマイラはバスタブから出てくるようになって、アシュリーさんにさらにたくさんの愛情を求めてくるようになったのです。マイラはいつも嬉しそうにアシュリーさんに寄り添いながら、愛らしい声でたくさん話しかけてきました。
その後、子猫達が歩けるようになると、アシュリーさんはリビングに親子を連れて行って、自由に歩き回れるようにしました。「子猫達は遊ぶことを学び、全身から好奇心が溢れ出してきました。そのため子猫達は様々な場所を探索したくなって、おぼつかない足取りで遠くまで歩いていくようになりました。」
「一方のモイラは毛布をこねることを止めようとしません。その姿から彼女がどれだけ幸せを感じているかが伝わってきます。」
「少し前までモイラは家の外で眠り、食べ物を探しながら暮らしていました。でも優しいアパートの住人に出会った彼女は、お腹の中の赤ちゃんのために慣れない環境へと足を踏み入れました。」
現在、親子はいつもお腹を満たしていて、暖かくて、愛されていて、たくさんの幸せを感じながら暮らしています。モイラはもう子猫達のことを心配しながら、野外を彷徨い歩く必要はないのです。
「モイラはまだ芝刈り機のような大きな音を聞くと物陰に隠れますが、私が話しかけるとすぐに落ち着きを取り戻します。」
「私は彼女の進歩をそばで見守ることができることに、とても大きな喜びを感じています。彼女は子育てを終えた後、素敵な家族を見つけて、再び子猫のように甘え始めることでしょう」とアシュリーさんが嬉しそうに話してくれました。
こうしてお腹の赤ちゃんのために慣れない環境に足を踏み入れたモイラは、人間の優しさに心を開くことができました。これからもモイラは安全な家の中でたくさんの愛情を感じながら、幸せいっぱいの毎日を送っていくことでしょう(*´ω`*)
出典:youngestoldcatlady/lovemeow