約3ヶ月前、保護施設で養育ボランティアをしているアンドレア・クリスチャンさんの元に、疥癬(かいせん。ヒゼンダニの寄生による皮膚感染症)を患っている猫についての連絡が入りました。猫は全身が荒れていて、目が開かなくなっていました。
「その時の私の家は保護猫達でいっぱいになっていましたが、彼のためのスペースを作りました。彼は足の疥癬もひどく、まともに歩くことができませんでした。私は彼の状態を確認して、回復するまでにはかなりの時間が必要になるだろうと感じました」とアンドレアさんが言いました。
『ミスティック』と名付けられた猫は、アンドレアさんの家に着くとすぐにご飯に興味を示しました。ミスティックはご飯を頑張って食べようとしましたが、顔中が疥癬の影響を受けていたため、ご飯をほとんど食べることができませんでした。
アンドレアさんはミスティックを快適な部屋に連れて行って、皮膚の疥癬を取り除くためのケアを始めました。
アンドレアさんは慎重にミスティックの顔を洗って綺麗にしました。するとミスティックの閉じられていた目がついに開いたのです。「私はその時初めて、ミスティックの目がオッドアイだと分かりました。」
ミスティックはアンドレアさんのおかげで顔に不快感を感じることがなくなり、ご飯を好きなだけ食べて、薬も飲むことができるようになりました。
「ミスティックは人間に対して警戒心を持っていましたが、心の中にはたくさんの愛情が隠されていました。彼は私が薬を飲ませたり、毛づくろいしたり、お風呂に入れたりすることを許してくれました。」
1週間の治療と栄養補給でミスティックの身体はかなり良くなりましたが、まだ撫でられることには抵抗がありました。
ちょうどその頃、アンドレアさんはミスティックと同じ症状の『ファジー・ビスケット』と名付けた保護猫を世話していました。
「私はふたりの疥癬が随分と良くなった時に、ふたりを会わせてみました。するとふたりはお互いに一目惚れしました。ミスティックはビスケットにピッタリと寄り添って、すぐに毛づくろいを始めました。」
ミスティックは病気の大変さを共有できる仲間ができたことで、毎日の暮らしが大きく変わりました。ミスティックはすぐに自分の殻から出てきて、いつもビスケットと一緒にいるようになりました。ふたりはお互いに鼻を擦り付け合って、幸せそうにゴロゴロと喉を鳴らし始めました。
ミスティックは回復とともに足も自由に動かせるようになり、毎日柔らかいものをこねたり、つま先を空中に伸ばしたりしながら満足そうな姿をたくさん見せてくれるようになりました。
またミスティックは家の中で自信が持てるようになり、アンドレアさんに頭を撫でてもらうために自ら近づいて行くようになりました。ミスティックは親友のビスケットと一緒にいると、全てのことが上手くいくように感じていました。
数週間の治療の末、ミスティックとビスケットは見事に回復しました。ふたりの全身の毛はフワフワになり、ミスティックは完全にハグ好きの猫へと生まれ変わったのです。
「ミスティックは疥癬による痛みを経験してきたにもかかわらず、とても優しい猫です。彼は私達の保護施設にいる全ての動物達を愛していて、今までに一度も喧嘩をしたことがありません。また彼は私に寄り添って、喉を鳴らしながら寝るのが好きです。」
そしてミスティックはついに、親友のビスケットと一緒に里親さんを探す準備を整えました。保護施設のスタッフ達はふたりがこれからもずっと一緒にいられるように、ふたりをペアで迎えてくれる里親さんを見つけることに決めているそうです。
「きっとミスティックは新しい家に移った直後は家族のことを警戒すると思いますが、自分が安全で愛されていることが分かるとすぐに心を開くことでしょう」とアンドレアさんが話してくれました。
こうして疥癬を患っていたミスティックは、アンドレアさんの元でケアを続け、再び美しい瞳の猫へと戻ることができました。これからもミスティックはビスケットと愛情を注ぎ合いながら、安全な家の中で幸せいっぱいの毎日を送っていくことでしょう。
出典:turtlecatfoster/lovemeow