ある日、カナダのブリティッシュコロンビア州の農村を、1匹の三毛猫が彷徨い歩いていました。猫を発見した家族は、猫のことがとても気になったため、『スカーレット』と名付けてご飯の世話を始めました。家族はスカーレットが飼い猫かもしれないと思い、飼い主さんを探しましたが、結局スカーレットを自分の猫だと言う人は現れませんでした。
その後、家族はスカーレットが妊娠していることに気づいたため、SNSを使って助けを求めました。すると1人の女性が家族に手を差し伸べ、スカーレットを引き取りに来て、保護施設『シャスワップ・ポーズ・レスキュー・ソサエティー』へと連れて行ってくれたのです。
スカーレットは無事に助け出されましたが、これから生まれてくる子猫達のために養育主さんが必要でした。そんなスカーレットの話を聞いた養育ボランティアのリンダさんは、躊躇することなくスカーレットを預かることを申し出ました。
スカーレットは最初、慣れない環境にとても怯えて混乱していました。そこでリンダさんはスカーレットのために静かな部屋を用意して、落ち着くまで待つことにしました。
その後、スカーレットは人間の優しさに気づき、徐々に自分の殻から出てきました。すると本来の甘えん坊な性格が表に出てきて、リンダさんに寄り添いながらくつろいだり、リンダさんの足に身体を擦りつけながら大きな音で喉を鳴らしたりするようになったのです。
さらに幸せに包まれたスカーレットは、両手で空中をこねるようになりました。「スカーレットはとってもフレンドリーな女の子です。彼女は撫でられることとお腹をマッサージされることが大好きで、毎回喉のゴロゴロ音が止まらなくなります」とリンダさんが言いました。
スカーレットは室内生活に慣れていくにつれて、人間の注目と愛情を求めるようになっていきました。さらにそれから数週間が経つ頃にはオモチャで遊ぶようになって、楽しそうに動き回るようになったのです。
「スカーレットの足は常に動いています。彼女は家の中を走って、オモチャで遊んで、幸せそうにフミフミしています。」
そして保護からしばらく経ったある日のこと、リンダさんと家族は養育部屋から聞こえてくる小さな声で目を覚ましました。スカーレットはこの日、6匹の子猫を無事に出産したのです。6匹のうち4匹が女の子で、残りの2匹が男の子でした。
「私達は子猫達を施設に連れてきたアイルランド人の女性にちなんで、子猫達にケルトの名前を付けることにしました。女の子はぞれぞれ『ファロン』『クィーバ』『アイブレアン』『アクロイ』、男の子はそれぞれ『フリン』『カーリン』と名付けました。」
スカーレットは出産から丸二日間は誰にも子猫達を触らせようとはしませんでした。リンダさんはそんなスカーレットの様子を近くで見守って、ご飯と水をスカーレットのそばに置きました。
優しいリンダさん達のおかげで、子猫達はみんな野外の危険な環境ではなく、安全な家の中で伸び伸びと成長することができました。スカーレットはとても愛情深いお母さんで、いつも子猫達の全ての要求に答えているそうです。
その後、目を開けた子猫達は遠くの方へと移動し始めましたが、スカーレットは決して子猫達を視界の外に出すことはありませんでした。さらに子猫達が鳴くたびに返事を返して、子猫達の身体を清潔に保つために、一日に何度も毛づくろいをしました。
それから少し経つと子猫達はお皿から離乳食を食べるようになりましたが、食事が終わるとすぐにお母さんのところに集まって、みんなで一緒の時間を過ごし始めるそうです。時々、ヤンチャな子猫達にもみくちゃにされるスカーレットですが、本人は全く気にしていないようです。
「スカーレットは最初、ベッドや毛布よりも床の上が好きでした。でも室内生活を始めてからしばらくすると、彼女は自ら柔らかいベッドに入って、幸せそうにベッドをこね始めました。私はその姿を見て幸せな気持ちに包まれました。」
「スカーレットは子猫達が十分に成長したら、施設に彼女を連れてきた女性に引き取られる予定になっています。女性は時々、スカーレットや子猫達に会いに来ています。そして愛らしい親子と遊びながら、幸せな時間を過ごしています。」
「女性はこれまでの1年半で数匹の猫を保護し、去勢や避妊手術を受けさせて、新しい家を見つけてきました。そんな優しい女性に助けてもらったスカーレットと子猫達は、これから先もずっと安全な家の中で暮らし、いつまでも幸せな時間を過ごしていくことでしょう」とリンダさんが話してくれました。
こうして農村で見つかった妊娠中のスカーレットは、安全な場所で出産し、子育てに全ての力を注ぐことができました。これからもスカーレットや子猫達は、温かい人間の愛情を感じながら、幸せな毎日を送っていくことでしょう(*´ω`*)
出典:tyler.rossabroad/lovemeow