ある日、ドンナ・パーカーさんと彼女の夫が祖母の家を訪れていた時、家の外から聞こえてくる子猫の声に気づきました。ドンナさん達が声を頼りに子猫達を探していると、ガレージの片隅に母猫と5匹の子猫を発見しました。
「子猫達は生まれたばかりで、とても小さな身体をしていました。子猫達のそばには母猫がいて、常に子猫達の世話をしていました」とドンナさんは言いました。
それから2週間後、ドンナさんが再び祖母の家を訪れると、子猫達は病気を患っていて、誰かの助けが必要なことが分かりました。
「私達は母猫を捕まえることができませんでしたが、子猫達を助けなければなりませんでした。兄弟の中で一番小さかった『ブラッド』は非常に衰弱していて、生死の境を彷徨っていました。」
保護施設『リチャードソン・レスキュー』で養育ボランティアをしているドンナさんは、子猫達を保護すると、つきっきりで看護を始めました。中でもブラッドの状態は非常に悪く、一瞬たりとも気が抜けませんでした。「私は常にブラッドの状態を確認して、看病を続けました。彼が頭を持ち上げる元気が出るまで、1時間おきにシリンジでご飯を食べさせ続けました。」
他の兄弟が育っていく中、ブラッドだけはずっと食べることを拒否し続けました。そのためブラッドだけは兄弟の3分の1の重さしかなかったそうです。「ブラッドはとても小さく、何度も命が消えかかりました。でも彼は何とか踏みとどまり、懸命に命をつないできました。」
ドンナさんはブラッドがひとりで立ち上がれるようになるまで世話を続けましたが、なぜブラッドが食べることが困難なのかがずっと気になっていました。
出典:richardsonsrescue
「私達はドンナさんからブラッドの養育を引き継ぎました。そして、数人の獣医さんの力を借りて彼の状態を検査すると、巨大食道症と呼ばれる状態であることが分かりました」と保護施設の責任者のキャサリン・ドラムンドさんは言いました。
巨大食道症の猫は食道が拡張し、食道の運動が低下するため、食べ物を胃に送り込めなくなってしまいます。そのためこの症状のある猫達は、身体を45度以上の傾けた状態で食事をしなければなりません。
「ブラッドの身体はまだとても小さいため、手術をすることもできませんでした。彼は普通の姿勢で食べると戻してしまうため、ひとりで生き続けるのが非常に困難でした。私達は何とか彼がひとりでご飯を食べられるように、いくつかのことを試みました。」
キャサリンさん達は地元の3Dプリンターデザイナーのプレストン・トビーさんに連絡をしました。そして、ブラッドの食事を助けるための特別な給餌装置を作ってもらったのです。
「給餌装置はとても上手くいきました。私達はその装置に合った特別な食べ物を用意しました。ブラッドは装置のおかげでしっかりとご飯が食べられるようになり、少しずつ身体を大きくしています。」
出典:richardsonsrescue
「ブラッドは肩の乗るのが大好きな子猫で、いつもその場所に座りながら何時間も過ごしています。彼はとっても親しみやすくて、甘えん坊な子猫です。」
「またブラッドはお話し好きの性格で、何か伝えたいことがある時は、可愛い姿で話しかけてきます。」
「現在ブラッドは17週齢で900gしかありませんが、とても気分が良く、毎日を楽しそうに過ごしています。彼はしっかりとご飯を食べて、日に日に成長を続けています」とキャサリンさんは嬉しそうに話してくれました。
出典:richardsonsrescue
こうして食べ物が食べられなかったブラッドは、優しい人達の愛情と特別な給餌装置のおかげで、ご飯が食べられるようになりました。ブラッドはこれからも美味しいご飯をたくさん食べて、元気いっぱいの姿をみんなに見せてくれることでしょう。
出典:richardsonsrescue/lovemeow