今から16年前、ケレンさんは地元の保護施設で白猫の『ダーウィン』を見つけました。ダーウィンは耳が聞こえず、産まれた時から苦しい生活を送っていました。保護された時には瀕死の状態だったため、獣医さんもダーウィンの命を諦めかけていたそうです。しかし、ダーウィンは僅かな確率の中、奇跡的に生き残ることができたのです。
「ダーウィンは今までにいくつもの奇跡を起こしてきました」とケレンさんは言いました。
ダーウィンは年を取るにつれて親切で穏やかになり、周りの動物や人間への愛情が増していきました。「ダーウィンは保護子猫にも、自分のご飯を食べさせます。そして彼は、出会った全ての人や動物とすぐに友達になります。」
また、子猫のような好奇心を持ったダーウィンは、いつもケレンさんと一緒に散歩に出かけます。みんなから注目されるのが大好きなダーウィンは、いつも楽しそうに家の外を歩いているそうです。
「ダーウィンは高齢のため、身体のバランスは100%ではなく、いくつかの関節炎を抱えています。そのため最近は、以前と同じように彼を散歩に連れて行くことを少しためらっています。」
ダーウィンは17歳の誕生日近くに、ケレンさんと一緒に近所の公園に出かけました。そして、ふたりが散歩をしていると、ウズベキスタン出身の85歳のリダさんに出会ったのです。リダさんは公園に一人でいて、地平線をぼんやりと見つめていました。リダさんはあまり感情を見せませんでしたが、ダーウィンが現れた時、全てが変わったのです。
「彼女はちょうど池のそばに座っていました。そして、ダーウィンに気づくと、一瞬で表情が明るくなったのです。」
ケレンさんはダーウィンに触れてもらおうと思い、リダさんを誘いました。「彼女はゆっくりと立ち上がり、ダーウィンの方へと歩いて来ました。そして、ダーウィンの隣に腰を下ろして、一緒の時間を過ごし始めました。」
とてもフレンドリーなダーウィンは、早速リダさんの手に頭を押しつけました。そんな愛らしいダーウィンに、リダさんは満面の笑みを浮かべたのです。そして、ダーウィンに話しかけながら、しばらく頭を撫で続けました。それからふたりはお互いに鼻をこすりつけ、嬉しそうに寄り添い始めたのです。
その様子を見ていたケレンさんは、ダーウィンとリダさんに若さが戻ったように感じました。
「リダさんは12歳で亡くなった愛猫がどれほど綺麗だったか、そして愛猫を失ってどれほど寂しかったかを教えてくれました。私は彼女の話を聞きながら、思わず泣いてしまいました。」
その後、ケレンさんはリダさんに住所を教えてもらいました。ケレンさんはこれから先、ダーウィンを連れて、時々リダさんの家に足を運ぼうと考えているそうです。
「ダーウィンは生まれながらのヒーラーで、みんなに癒しを届け続けています。彼の世界には恐怖や敵は存在せず、決して他人を攻撃したりはしません。あまり猫好きではない人も、彼のことは好きになってくれるのです。」
「リダさんは引きこもりがちで、家からあまり外に出ていなかったそうです。初めて出会った時も、膝を抱えながら座っていました。でもダーウィンと一緒のときの彼女は、とても輝いていました。」
こうしてダーウィンの優しさで、一人の女性の心が救われました。きっとダーウィンは、ケレンさんとの生活の中で、みんなへの愛情が芽生えたのでしょう。
ダーウィンはこれからも、多くの人達に愛情を注ぎながら、みんなの心を輝かせ続けていくことでしょう(*´ω`*)
出典:Kellen