シリアの北部にあるアレッポの街は2012年以降、激しい戦闘が続いています。この戦闘から逃れるために、およそ4万人の住民が街を出て、他の都市へと移っていきました。
そんな中、この街に住むムハンマドさんは、猫の尊い命を守るために街に残りました。
近くで戦闘が続く中、ムハンマドさんは街を出た住民に置き去りにされた猫を探し回りました。そして20匹の猫を見つけたのです。ムハンマドさんはすぐに猫達を保護すると、元々面倒を見ていた野良猫達と一緒に世話を始めました。
それから1年後。ムハンマドさんが世話をする猫の数は100匹を越えました。さらにムハンマドさんは、街を離れる住民達のために、猫を預かる保護団体『Il Gattaro d’Aleppo』を設立したのです。
ムハンマドさんは助けを必要としている猫を1匹でも多く保護しようと、街中を探し回りました。そして、いつしかムハンマドさんは『アレッポの猫男』と呼ばれるようになったのです。
ある日のこと、家族と一緒に街を出ることになった少女が、愛猫をムハンマドさんのところに持ってきました。そして、泣きながらムハンマドさんに手渡したのです。
ムハンマドさんは少女に「愛猫の写真を送信して欲しい」と懇願されました。その日以来、ムハンマドさんはスマートフォンで猫の写真を撮り、少女に送り続けているそうです。
少女は最後に「私達がこの街に戻ってきたら愛猫を返してね」とムハンマドさんに言い残して、この街を後にしました。
戦闘が激しさを増す中、ムハンマドさんの友達はみんな街を去りました。今では、猫達がムハンマドさんの友達だそうです。
この街に残る決断をしたムハンマドさんは「何が起ころうと、猫と一緒にここにいる」と言います。
ムハンマドさんの言動から、どれほどの決意で臨んでいるかが伝わってきます。
ムハンマドさんは荒廃した街の中で、今も猫達の世話を続けています。この国に平和が訪れ、猫達が安心して暮せる街が戻るまで、ムハンマドさんは命をかけて猫達を守り続けていくのです。
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