ある日、保護施設『リトル・ワンダラーズ・ニューヨークシティー』に匿名で緊急の救助依頼が入り、写真が一緒に送られてきました。
写真には土の上で丸くなっている茶トラ猫の姿が写っていました。そこは多くの人達が行き来する場所でしたが、立ち止まって猫を助けようとする人はいませんでした。「私達のところに届いたメッセージには、猫は1週間以上も横たわっていると書かれていました」と保護施設のスタッフが言いました。
その後、救助ボランティアのノラさんが外出先で猫のことを知ると、すぐに車の方向を変えて、猫を保護するために現場に向かいました。
猫が倒れている具体的な住所は書かれていませんでしたが、ノラさんは写真に写っている建物から大体の場所を特定しました。そして目的地に着いたノラさんは、猫の正確な位置を知るために、何人もの人達に猫のことについて聞いて回りました。
ノラさんが捜査を続けていると、遠くの歩道をよろよろと歩く猫の姿を発見しました。ノラさんはすぐにそれが探している猫だと感じ、急いで猫の元へと向かいました。
「それは確かに写真に写っていた猫でした」とノラさんが言いました。
後に『ドレイデル』と名付けられた猫は、手に食べ物を持っているノラさんの方に近づいてきました。「彼は耳にかさぶたができていて、鼻と口が緩んで青白くなっていました。彼の足は非常に細く、虚ろな瞳をしていて、目の横が膨らんでいて、呼吸をするのも大変そうでした。」
ドレイデルはそんな状態だったにもかかわらず、とても優しくて愛情深く、動物病院の診察室に運ばれた時もスタッフ達に甘えようとしていました。ドレイデルは高齢の猫でほとんど歯が残っておらず、心臓病で投薬が必要なことが分かりました。
その後、退院したドレイデルはノラさんの家に移動して、暖かくて居心地の良い部屋の中で過ごし始めました。
ドレイデルは食べ物に強い興味を示し、すぐにお気に入りのオヤツをいくつか選びました。そしてオヤツの袋が開く音が聞こえると、ドレイデルの瞳は嬉しそうに輝きました。
「ドレイデルはいつもオヤツをお皿に出す前に飛びついてきて、私の指を舐め始めます。幸いなことに彼は食べ物を正常に消化できていて、とても食欲がありました。」
ドレイデルは身の回りの世話してくれるノラさんの存在に大きな喜びを感じていました。さらに安全な家の中に安心したドレイデルは、これまでの睡眠不足を取り戻すかのように一日の多くの時間を眠って過ごしました。
「私がドレイデルの身体を拭くと、彼はとても嬉しそうな表情を見せてくれて、喉を鳴らし始めました。彼の身体には多くの問題がありますが、いつもフレンドリーに接してくれています。また彼は背中で転がるのが大好きで、私が身体を撫でると幸せそうにとろけます。そして『もっと撫でて』と言っているかのように、私の手に頭をぶつけてきます。」
そして昨日、随分と元気を取り戻したドレイデルは、湧き出してきた好奇心を満たすためにノラさんの寝室に足を踏み入れました。
今のドレイデルは美味しいご飯をお腹いっぱいに食べて、好きなだけ眠りながら一日を過ごしています。さらに優しいノラさんのことが大好きになったドレイデルは、夜中の2時に目を覚まして、ノラさんに寄り添ってもらうまで鳴き続けていたそうです。
「私がドレイデルの隣に座ると、彼はまるで私に抱っこをおねだりするかのように身体を擦りつけてきました。彼は私と一緒に眠るのが大好きです。」
「これまで大変な環境の中で過ごしてきたドレイデルが、どのようにしてこれほどの愛情を持ち続けられたのかは分かりませんが、彼はとても愛情深く、とても純粋です。彼はこれからもずっと安全な家の中で暮らしながら、最期を迎える瞬間まで甘やかされながら過ごしていくことでしょう」とノラさんが話してくれました。
こうして何日も土の上で横たわっていたドレイデルは、ノラさん達のおかげで新しい人生を歩み始めることができました。これからもドレイデルはたくさんの愛情を全身で感じながら、幸せな毎日を送っていくことでしょう。
出典:littlewanderersnyc/lovemeow