カナダのモントリオールの街をお腹を空かせた毛の長い黒白猫が彷徨い歩いていました。そして猫はある日、近所の人達にご飯をもらいながら生活している数匹の猫達の輪に加わりました。
この地域では野良猫の数が増え続けていました。そのため地元で動物の保護活動をしている人達が、全ての猫を保護して新しい里親さんを見つける活動を始めました。
その人達のおかげで、この地域に住んでいる猫達は1匹ずつ保護されていきました。そして最後に残ったのが黒白猫の『トム』でした。
「トムは少なくとも2回の冬をこの地域で過ごしました。彼は非常に寒い季節を何とか乗り越えてきました」と保護施設『シャトン・オルフラン・モントリオール』のセリーヌさんが言いました。
近所に住む家族の話によると、トムは定期的にご飯を求めて現れて、朝になると玄関前で待っているということでした。トムは去年の冬が終わる頃には全身の毛がとてもボサボサになっていて、健康状態も悪化しているように見えました。
しかし、トムはそれから何度も捕獲器を回避して、最終的にこの地域を彷徨い歩く最後のひとりになったのです。
そんな慎重なトムでしたが、ある日空腹に耐えられなくなって、食べ物が入っている捕獲器の中へと足を踏み入れることを決心しました。「トムはついに路上での生活に別れを告げて、獣医さんの元で必要な治療を受けました。」
出典:Rescuechatonsmontreal
保護先で『アルサス』と名前を変えたトムは、長い間路上で暮らしてきたため、人間のことを警戒していました。そのためアルサスは誰も自分のそばに近づけようとはしませんでした。
アルサスは動物病院で多くの健康問題の治療を受け、荒れていた毛を取り除いてもらいました。するとアルサスはとても気分が良くなったようで、徐々に元気を取り戻していきました。
出典:Rescuechatonsmontreal
「毛を刈られたアルサスの身体には、路上での生活で負った戦いの傷跡がいくつもありました。彼はようやく安全な場所で休むことができるようになりました。」
その後、養育主さんの家で過ごし始めたアルサスは、静かな部屋で徐々にリラックスしていきました。またアルサスは人間の優しさに触れて、ゆっくりと人間のことを信頼していきました。「アルサスは少し怖がりながらも、徐々に優しい表情になっていきました。」
そしてついに養育主さんがアルサスの頭を撫でることに成功すると、アルサスの目が輝き始めました。アルサスは嬉しそうに立ち上がって、もっと撫でて欲しそうにアピールしてきたのです。またアルサスは自分が安全であることに気づき、愛情を求めて人間に寄り添うようになりました。
「アルサスはたくさん抱っこしてもらいたくて、自分の殻を完全に破りました。そして彼は好奇心の赴くままに、新しい環境を探索し始めました。彼は養育主さんの膝の上で喉を鳴らして、幸せそうに顔を擦りつけてくるようになりました。」
養育主さんの家で数週間過ごしたアルサスは、とても健康的で幸せそうな姿を見せるようになり、全身の毛も徐々に元に戻っていきました。また身体の回復と共に甘えん坊になったアルサスは、人間の顔に自分の顔を近づけながら、人間と触れ合う時間を楽しんでいるそうです。
アルサスは常に人間のそばにいることを好み、ひとりになることを拒むようになりました。「アルサスはすっかり室内生活を楽しんでいて、いつもたくさんの愛情を求めています。」
またアルサスは遊んで欲しい時は仰向けになって転がるようになりました。アルサスはいつも楽しそうに人間に接し、常に笑顔を絶やさないそうです。
「アルサスは現在、人間のことを完全に信頼していて、静かに暮らすことのできる家を探しています。これまでに様々なことを経験してきた彼は、家の中での生活に最高の喜びを感じています」とセリーヌさんが話してくれました。
こうして何年も野外で過ごしてきたアルサスは、安全な家の中で幸せな人生を歩み始めました。きっとアルサスの元には素敵な里親さんが現れて、いつまでも幸せいっぱいの毎日を送っていくことでしょう。
出典:Rescuechatonsmontreal/lovemeow