住んでいた家の火災で大やけどを負った猫の『ラッセル』は、生死の境から奇跡的な回復を遂げました。そして、傷が回復するにつれ、同じ動物病院の動物達に寄り添い看病するようになったのです。
その日、アメリカのロースカロライナ州の動物救急病院にラッセルは搬送されました。ラッセルの住んでいた家が火事になり、4日後、火災のくすぶる瓦礫の中から、顔や身体に重度の火傷をおった状態で発見されました。
運ばれてきたラッセルを一目見た病院のスタッフが「果たして助かるのか?」と思うほどひどい状態でした。
ラッセルは顔や身体だけでなく、口や舌、そして直腸まで大やけどを負い、脱水症状になっていました。さらに悪い事に4日間も何も口にしていなかったため、肝リピドーシス(脂質代謝異常により肝臓に過剰な脂肪が蓄積し、肝機能障害を起こす病気)も発症していたのです。
この火事でラッセルの飼い主さんは、ペットの犬も含め多くの物を失っていました。なんとかラッセルだけでも助けたいと思った病院のスタッフはfacebookを使って医療費の寄付を募ったのです。そして、この話を聞いた人たちから多くの寄付が集まり、ラッセルは治療にはげむことができたのです。
こうしてラッセルは、家族や病院スタッフ、そしてラッセルの回復を願う人々に支えられて、徐々に本来の猫の姿を取り戻しつつあります。
そして、不思議な事にラッセルが元気になっていくにつれ、病院内にいる弱った動物達を看護するようになったのです。こちらは子鹿のダーラに寄り添うラッセル。
病院スタッフのウェルフォードさんはこう話します。「ラッセルは不思議な魅力を持った猫です。ラッセンは病院内の動物全てを元気にしたいと思っています。ラッセルは動物達の痛みを感じる事ができるかは分からないけど、他の動物達と通じ合える特別な才能を持っているように思えるのです。」
ラッセルは病院内を歩き回り、元気の無い動物を見つけると寄り添ってあげるそうです。
「ラッセルは、治療中の動物達が安心できるように寄り添い、ストレスをほぐす手伝いをしています。ひとりで過ごすのが好きな猫もいますが、ラッセルは他の動物達と一緒にいるのが好きなのです。そして、動物達の友達になれることを楽しんでいるようです。」
ラッセルはどんな動物にも近づいていき、いっしょに時間を過ごします。下の写真は、目を負傷したチワワのロスコ―に寄り添うラッセル。
そんなラッセルですが、ときにはこんなお茶目な姿も見せてくれます。チーズ好きなラッセルがチーズを食べようとして、こんなに面白い姿になることも。
ラッセルは回復しつつありますが、生きていくためにはこの先も十分なケアが必要である可能性が高いそうです。もしそうなったとしても、病院スタッフは病院内でラッセルが幸せに暮らしていけるようにしたいと考えています。
病院に来る全ての動物と友達になることができるラッセル。もしこの先病院で暮らす事になっても、ラッセルにとっては幸せなことなのかもしれません。病院はラッセルが大好きな動物達といっしょにいることができ、ラッセルの素晴らしい才能を生かせる場所だからです。
きっとこれからもラッセルは苦しむ動物達を癒し続けていくことでしょう。