ある日、路上で1匹の茶トラの子猫が保護されました。子猫は体調が非常に悪く、足はネバネバしたタールで覆われていました。子猫を見つけた近くの住人は、すぐに地元の保護施設に助けを求めました。
「私は保護された子猫が茶トラだと分かると、すぐに会わせたい猫の姿が頭に浮かびました」と保護施設の創設者のメリッサさんが言いました。
実は子猫が見つかる数週間前、メリッサさんは路上から妊娠中の茶トラの野良猫『ジニー』を保護していました。そして保護の数日後、ジニーは6匹の赤ちゃんを出産しました。
しかし、ジニーの看護とメリッサさんの最善の努力にもかかわらず、6匹のうちの『ポピー』と『フェニックス』と名づけられた2匹の子猫が命を落としました。『フェリックス』『フォックス』『フィン』『ピーチ』と名づけられた残りの4匹は、何とか危険な状態を脱して命をつなぐことができました。
ジニーは残った子猫達を常に守っていて、子猫達のそばを決して離れようとはしませんでした。ジニーはいつも子猫達に話しかけて、子猫達のことを常に気に掛けていました。メリッサさんはジニーがご飯を食べ忘れることがないように、毎回ジニーの目の前までご飯を運び続けました。
メリッサさんは別の茶トラの子猫が助けを必要としていることを知った時、すぐにジニーのことを考えました。「私はフェニックスとポピーを失った後、別の子猫を育てようとは思っていませんでしたが、その考えは変わりました。私は命を落とした子猫のひとりが、もう一度人生をやり直すために戻ってきたのだと思いました。」
メリッサさんは毛布を敷いた柔らかいベッドを設置して、電気バッドと羊のヌイグルミを用意しました。そして24時間体制で子猫の世話を続けると、子猫は少しずつ元気を取り戻していったのです。
メリッサさんはクレンジングオイルや食器洗い用の洗剤を使って、子猫の足を覆っていたタールを取り除きました。さらに動物病院に何度も通い、怪我をしていた子猫の足を治しました。
子猫は亡くなったジニーの赤ちゃんから名前をとって『フェニックス』と名づけられました。フェニックスはメリッサさんの優しさが嬉しくて、いつも満足そうに喉を鳴らしていたそうです。
「フェニックスは毛布をこねるのが大好きです。また彼は私の顔に足を置く習慣があります。それはまるで足を治してくれたことへの感謝の気持ちを伝えているかのようでした。」
その後、フェニックスが他の子猫達と会う準備を整えると、メリッサさんはフェニックスをジニー親子に会わせました。
ジニーはフェニックスの声を聞くとすぐに駆け寄ってきました。そしてフェニックスにキスをして、愛情いっぱいに毛づくろいを始めたのです。
「ジニーの子供達もフェニックスのことを一瞬で受け入れてくれました。」
フェニックスはその日、ジニー親子の一員になりました。フェニックスは人工哺乳で育ったため、ジニーお母さんのミルクを飲みませんが、兄弟がミルクを飲みに集まってくると、一緒になってお母さんに抱きつくそうです。
フェニックスは兄弟よりも2週間若く、身体のサイズも小さいですが、兄弟に遅れないようにいつも一生懸命に歩き回っています。またフェニックスは兄弟と一緒に激しく遊んで、一緒に昼寝をすることを学びました。
そんなフェニックスのことをいつも気に掛けていたのがフェリックスでした。フェリックスはフェニックスがハグを必要としている時は、いつまでもそばに寄り添い続けていたそうです。
その後、ジニー親子が生涯の家を見つける時期が来た時、メリッサさんは新しい家でも常に猫の仲間がいる状態にしてあげたいと思いました。
それはジニーに対しても同じでした。ジニーはこれまでずっと路上で暮らしてきて、安心できる場所が必要でした。ジニーはメリッサさんの家で我が子を育て、フェニックスを受け入れ、人間のことを信頼し、オモチャで遊ぶようにもなりました。
幸いなことにジニーの前にはすぐに新しい里親さんが現れて、愛するピーチと一緒に生涯の家で暮らし始めることができました。
さらにフォックス、フェリックス、フィンも素敵な家へと旅立っていきました。子猫達はそれぞれの家で先住猫に迎えられて、幸せな時間を過ごしているそうです。
そして一番幼かったフェニックスも、無事に生涯の家を見つけることができました。フェニックスは新しい家で優しい猫のお姉さんに迎えられて、楽しい毎日を送っているそうです。
こうしてジニー親子とフェニックスは、メリッサさんのおかげで新しい人生を歩み始めることができました。きっと愛情いっぱいに育てられた子猫達は、新しい家族の元にもたくさんの幸せを運び続けることでしょう(*´ェ`*)
出典:Tiny but Mighty Kitten Rescue/lovemeow