ある日、保護施設『リトル・ワンダラーズ・ニューヨークシティー』のスタッフのサニーさんが、地域猫のコロニーで見つかった子猫についての連絡を受けました。サニーさんはコロニーの管理者と一緒に子猫の元へと向かいました。
しかし現場に到着すると、そこには子猫の姿はありませんでした。そこでサニーさんは食べ物を用意して、猫の鳴き声をスマートフォンで流し始めました。
それからしばらくして声につられた子猫が姿を現すと、サニーさんは子猫の目に問題があることに気づきました。
「私は子猫の目を見て、眼瞼内反症(がんけんないはんしょう。まぶたが内側に向いている状態)になっているのではないかと思いました。でも彼女の目を近くで確認すると、もっと大変なことが起こっていることに気づきました」とサニーさんが言いました。
サニーさんは捕獲器を使って、のちに『オラクル』と名付けられた子猫を保護しました。「オラクルは最初、自分の身に何が起こっているのかが分からなかったため、とても怖がっていました。」
その後すぐにオラクルは動物病院に運ばれて、獣医さんの診察を受けました。そしてオラクルの眼球が破裂していて、完全に失明していることが分かったのです。生後約5ヶ月だったオラクルは、獣医さんの元で必要な治療を受けました。
「もしオラクルがあのまま路上で暮らしていたら、長くは生きられなかったことでしょう。彼女は目が見えなかったため、常に危険な状態にさらされていました。でも彼女が路上での生活に別れを告げたことで、その後の人生が永遠に変わりました。」
保護施設のスタッフ達はオラクルを社会化させるために、オラクルを育ててくれる養育主さんを探し始めました。そして公立学校の先生で、養育ボランティアをしているティムさんが世話を引き受けてくれたのです。
安全な家の中で過ごし始めたオラクルは、静かな部屋と快適なベッド、美味しいご飯とたくさんの愛情で、すぐに自分の殻から出てきました。そしてティムさんのことを信頼し始め、愛情を求めるようになったのです。
家の中の心地良さに気づいたオラクルは、確実に自信をつけていきました。オラクルはもう生きるために隠れたり戦ったりする必要がないことに気づき、家の中を探索しながら様々な場所の匂いを嗅ぎ始めました。そして最終的にオラクルはティムさんの膝の上に乗って、温かい腕の中でくつろぎ始めたのです。
「私達は最初、オラクルがとても野生的で、人間のことを受け入れるまでにはかなりの時間がかかるだろうと思っていました。でも実際は一晩のうちに大きく変わりました。」
オラクルは短い時間で新たな一歩を踏み出し、別猫へと生まれ変わりました。オラクルの頭の中には既に家の中の地図が随分と出来上がっていて、いつも安心しながら室内生活を送っています。またオラクルは温かい膝の上が大好きで、ティムさんがたくさんの愛情を注いでくれることに大きな幸せを感じているのです。
完全に目が見えないオラクルですが、それがこれからのオラクルの充実した人生の妨げになることはありません。オラクルは視覚以外の感覚を使って、まるで見えているかのように行動することができるのです。
こうして路上から保護されたオラクルは、ティムさん達のおかげで明るい未来に向かって歩み始めることができました。現在のオラクルはいつもリラックスしていて、甘やかされることに幸せを感じながら、全ての愛情を吸収し続けているのです。
出典:littlewanderersnyc/lovemeow
This post was published on 2024/03/30