ある日、北カリフォルニアに住む優しい夫婦が、近所に置き去りにされていた1匹の猫に出会いました。心配した夫婦が猫の世話を始めると、猫の鼻が日に日に腫れてきていることに気づきました。
猫の状態は急激に悪化していきました。猫は食欲を無くし、獣医さんの治療を必要としていました。そのため夫婦が猫を動物病院に連れて行くと、真菌感染によるクリプトコッカス症だと診断されました。
夫婦は猫が必要としている専門的なケアを自分達では提供できないことを知っていたため、地元の保護施設『ミロズ・サンクチュアリ』に助けを求めました。連絡を受けたスタッフ達は猫をすぐに受け入れると、『カイ・シャドーストライダー』と名付けて治療を始めました。
「カイが私達の施設に来た時、重い病気で衰弱し、肉体的にも精神的にも最悪の状態でした。そのため彼の本当の性格を知ることは困難でした。彼の顔は感染のために潰瘍化(かいようか)していて、力なく丸くなっていました」と保護施設のミシェル・ホフマンさんが言いました。
スタッフ達はすぐに獣医さんと協力して、カイのクリプトコッカス症と顔の治療を始めました。カイは非常に衰弱していたにもかかわらず、一生懸命に治療に臨み、助けてくれた人達に感謝の気持ちを伝えてきました。
「カイの生きようとする意志は本当に素晴らしいものでした。彼の目は変化を望んでいて、生きたいという意志を強く感じました。その姿を見た私達は、彼のそばで一緒に闘うことを誓いました。」
最適な治療とたくさんの愛情で、カイは徐々に元気を取り戻していって、力をつけ始めました。そしてカイが手術の準備を整えると、創面切除(感染・壊死組織を除去する)手術が行われました。
「獣医さんの治療と薬、そして適切な看護で、カイの状態は改善し始めました。私達はカイに『あなたがどれだけハンサムで、みんながどれだけあなたのことを愛しているか』を伝え続けました。」
カイは日を追うごとに回復していき、本来の性格が現れ始めました。カイは活発で、好奇心が旺盛で、出会った人全てに寄り添いたいと主張しました。カイはとってもハグ好きの甘えん坊な猫だったのです。
「カイは他の猫や人間、さらに枕に寄り添うことが大好きです。また彼はご飯とオヤツも大好きで、オモチャで遊ぶ方法をゆっくりと学んでいます。」
カイは保護された時と比べると遥かに良くなりましたが、カイが最高の生活を送るためには生涯にわたる治療やサポートが必要でした。そこで保護施設はカイを最期までケアすることに決めたのです。
「カイはまだ完全に回復しておらず、やらなければならないことがたくさんあります。彼の鼻が元のサイズに戻るかは分かりませんが、私達は彼がより良い生活を送れるように努力していこうと思います。」
カイは先住猫達とも仲良くなって、いつもみんなにたくさんの愛情を注いでいます。そのためカイの前に他の猫が現れるとスリスリするために近づいていって、人間に呼びかけられると嬉しそうに駆け寄ってくるそうです。カイは常に愛情を強く望んでいて、撫でられたり、寄り添ったりできるチャンスを絶対に逃したくないのです。
「カイはとても甘くて優しくて、お腹を撫でられたりキスをされたりするのが大好きです。彼はまだ少し恥ずかしがり屋なところもありますが、オヤツをおねだりしたり、オモチャで楽しそうに遊んだりしています」とミシェルさんが話してくれました。
カイは辛い経験をしたにもかかわらず、みんなのことが大好きで、いつもたくさんの愛情を与え続けています。そしてカイはみんなからの愛情に感謝しながら、幸せいっぱいの毎日を送っているのです。
出典:milos_sanctuary/lovemeow