ある女性がトレーラーハウスが並ぶ地域で、路上暮らしの猫達のためにご飯を用意して、猫達のことを助けていました。その状況を保護活動を行っている人達が知ると、すぐに支援を申し出ました。彼らは1匹ずつ猫を保護して安全な場所へと連れて行きました。
そんな野外で暮らす猫達の中に、人間のことをとても警戒しているキジ白猫がいました。その猫はいつも人の手が届かないところにいて、周りに誰もいない時だけ食事をして、捕獲器を強く警戒していました。
「猫に近づくことは容易なことではありませんでした。また彼は捕獲器を警戒していて、決して中に入ることはありませんでした」と保護施設『シャトンズ・オルフランズ・モントリオール』のセリーヌさんが言いました。
猫は賢くて、いつも誰よりも一歩先を行っているように見えました。そんな人間のことを警戒している猫ですが、いつもご飯をくれる女性のことだけは信頼していて、何度も女性のトレーラーハウスの外に戻ってきました。
そしてある日、お腹を空かせた猫は勇気を出して女性のトレーラーハウスの中に足を踏み入れました。その後、入り口のドアが閉まると、猫は一気に緊張しました。
この時の猫はまだ、自分の人生が良い方向に向かい始めたことを知りませんでした。
「私達は猫を女性から引き取りました。そして猫に『パトフォ』と名付けて、動物病院に連れて行きました。」
パトフォは突然の環境の変化に戸惑いましたが、決して悲鳴を上げたり、暴れたりすることはありませんでした。「私達はパトフォの心配そうな瞳の奥に、愛情を欲している気持ちがあることを知っていました。」
保護施設のスタッフが孫の手を使ってパトフォの頬を撫でると、パトフォは背を向けたりすることなく孫の手を受け入れました。パトフォはまだ怖がっていましたが、撫でられることが気持ち良いことだと気づきました。するとパトフォの瞳の中からゆっくりと、しかし確実に、恐怖の色が消えていったのです。
動物病院で必要な治療を受けたパトフォが養育主さんの家に着くと、さっそく美味しそうなご馳走に目を輝かせました。パトフォは勢いよく全てのご飯を平らげて、新しい空間を探索し始めました。そして、リラックスしながら養育主さんの元に歩み寄って、アゴを撫でてもらうために顔を押しつけました。
さらにパトフォは床の上で転がって、信頼の証であるフワフワのお腹を見せました。「パトフォの身体はとても大きいですが、彼はまだ赤ちゃんのようです。家の中が安全な場所だと分かった彼は、本来の個性が表に出てきました。」
パトフォは養育主さんの元で自信に満ちた猫へと変わり、たくさんの愛情を求めて自ら注意を引くようになりました。「パトフォは目が合うとすぐに近づいてきて顔を擦りつけてきます。彼の年齢は約4歳ですが、心の中はまだ子猫のままです。」
「パトフォは今でも突然の音にビックリしますが、短期間のうちに大きく変わりました。彼はテディベアのように愛らしく、いつもたくさんの愛情を求めています。」
パトフォはこれまで路上を彷徨いながら命をつないできましたが、今は安全な家の中でリラックスしていて、家猫生活を全身で楽しんでいるのです。
「パトフォの生き残るための戦いは終わりました。彼はこれから自分のことを際限なく甘やかしてくれる家族に出会って、いつまでも幸せいっぱいの毎日を送っていくことでしょう」とセリーヌさんが話してくれました。
出典:comrescuemontreal/lovemeow