ある日、猫の『カーター』が衰弱した状態で保護施設『エクスプロイツ・バレー・SPCA』に運ばれてきました。カーターは全身の毛が荒れていて、引っ込み思案で臆病で、誰かが近づいてくるたびに威嚇していました。
「カーターは人間のことを恐れていました。彼が気持ちを落ち着かせるためには、安全で快適な環境とたくさんの愛情が必要でした」と保護施設のスタッフが言いました。
カーターは非常に怖がっていましたが、その瞳の奥には甘えたい気持ちが隠されていました。「カーターはアゴを撫でられたり、優しく話しかけられたりするのが好きなようでした。」
それから6ヶ月の間、スタッフ達はカーターを社会化させながら、信頼を得るために懸命な努力を続けました。するとカーターはケージの中に隠れなくなって、少しずつ部屋の中で身体を伸ばすようになったのです。
カーターは他の猫達に近づくことができるようになりましたが、ほとんどの時間をひとりで過ごしていました。しかし、少しずつ自信を取り戻してきたカーターは、人間に身体を撫でることを許すようになりました。
「カーターは色々な面で成長しました。彼はスタッフ達の近くで過ごすようになって、施設を訪問した人達にも挨拶をするようになりました。」
出典:EvspcaAdoptables
そんな中、保護施設の別の場所に、全身の毛がひどくもつれた猫の『ヘンリー』がやって来ました。ヘンリーはお風呂で全身を綺麗にしてもらうと随分と気分が良くなったようで、ベッドで丸くなりながら、ずっと望んでいた深い眠りにつくことができました。
しかし、保護施設の環境はヘンリーにとってストレスの多いものでした。「ヘンリーは幸せではなく、少しいじめっ子になり始めていました。」
ヘンリーはスタッフ達の注目の的になりたがっていて、他の猫とスペースを共有したくはありませんでした。「ヘンリーは人間には優しく、かまってもらえると嬉しそうに甘えてきます。彼の年齢は2〜3歳ほどで、野外から保護された後、誰にも引き取られませんでした。」
スタッフ達はヘンリーが他の猫達をいつも警戒していたため、ヘンリーには唯一の猫として暮らせる家が必要だと感じていました。
出典:EvspcaAdoptables
それから数ヶ月が経ってもヘンリーは保護施設にいて、生涯の家を見つけられずにいました。一方のカーターは1年以上も保護施設にいて、すっかりこの場所に定着していました。
カーターはスタッフ達と過ごすことを楽しんでいました。「でもカーターは何よりも心地良いベッドと、いつでも食べられるご飯が大好きでした。彼はバスケットボールほどの大きさに成長し、床の真ん中で大の字になって誇らしげにお腹を見せてくることもあります。」
そんなカーターですが保護施設で暮らし始めてから1年以上が経っても、他の猫達と仲良くなることはありませんでした。しかし、カーターがヘンリーに出会うと、ふたりの気持ちに大きな変化があったのです。
「ヘンリーはよく新しく来た猫を叩いたり、先住猫を威嚇したりしていました。そのため私達はいつもヘンリーが1匹で飼われるのが一番良いだろうと思っていました。そのためカーターとの間に生まれた友情は、非常に特別なものでした。」
出典:EvspcaAdoptables
「自分のことだけを愛していたヘンリーは、カーターが自分と対等な存在だと決めたようでした。」
ヘンリーはカーターの落ち着いた様子に惹かれたようで、カーターに嬉しそうに寄り添って、どこにでもついて行くようになりました。「ヘンリーはカーターを苦しめたりせず、他の猫達とは明らかに違った接し方をしています。」
ふたりは誰も予想していなかった美しい友情を築きました。
カーターもヘンリーのことがすぐに好きになりました。カーターはいつも後ろにヘンリーがついて来ているにもかかわらず、ヘンリーのことを遠ざけたりすることなく、一緒に冒険を楽しみながら喉を鳴らしているそうです。
ヘンリーはカーターに安心し、いつもリラックスしながら過ごしています。そしてカーターはヘンリーがそばにいると、喉のゴロゴロ音がとても大きくなります。
「私達は保護施設で猫達の友情を見るのが大好きです。特にそれがありそうもなかったふたりの場合なら尚更です」と保護施設のスタッフが嬉しそうに話してくれました。
出典:EvspcaAdoptables
こうして保護施設でいじめっ子だったヘンリーと、いつもひとりで過ごしていたカーターは、出会ってすぐに驚くほど仲良くなりました。ふたりは思いがけない絆を築き、いつも一緒に穏やかで楽しい毎日を送っているのです。
出典:EvspcaAdoptables/lovemeow