ある日、近所の動物達を助けるために精力的に活動している女性が、ビルの建設現場で猫の鳴き声を聞きました。「女性は偶然、適切なタイミングで適切な場所にいました」と保護施設『リトル・ワンダラーズ・ニューヨークシティー』のスタッフが言いました。
女性が声を頼りに建設資材が保管されている一角に近づくと、1匹のキジトラ猫が積み上げられた敷石の上に座りながら鳴いている姿が見えました。
一方の猫も女性の存在に気づいたようで、鳴くのをやめて女性の方に向かってきました。そして、まるで愛情に飢えているかのように、女性が差し出した手に頭を擦りつけました。
大きな身体の猫はすぐに甘えたい気持ちが溢れ出してきたようで、女性の目の前でゴロンゴロンと転がり始めました。
そんな人間好きの猫により良い生活を送らせてあげたかった女性は、保護施設に連絡をすると、一晩世話をするために猫を自宅に連れて帰りました。
「猫は強い心と素晴らしい性格の持ち主で、明らかに人間との生活を望んでいました。」
『ゴリアテ』と名付けられた猫が女性の家に着くと、さっそくお皿いっぱいのご飯を勢いよく食べ尽くしました。そしてお腹がいっぱいになると、床の上に転がって、部屋中に響き渡るような大きな音でゴロゴロと喉を鳴らし始めました。
「ゴリアテはこれまで路上で厳しい生活を送ってきたにもかかわらず、とっても優しくて素敵な心の持ち主です。」
ゴリアテは翌日、新しい養育主さんと一緒に動物病院に行きました。するとゴリアテはまるでその場所が自分のものであるかのように自信満々に闊歩して、スタッフ達にフレンドリーに挨拶をしました。「私はこれまで、これほど多くの見知らぬ人達とこんなに早く親しくなる猫を見たことがありません」と養育主さんが言いました。
ゴリアテはその大きな喉のゴロゴロ音で全ての音をかき消したため、獣医さんはゴリアテの心拍音を聞くのにとても苦労したそうです。
非常に人懐っこいゴリアテは、もしかすると以前誰かに世話をされていたのかもしれません。ゴリアテはマイクロチップを持っておらず、ゴリアテのことを自分の猫だという人は現れませんでした。「ゴリアテは室内生活にスムーズに移行して、嬉しそうに寝転がってお腹を見せたり、様々なオモチャで遊んだりしています。」
ゴリアテは養育主さんの家を隅々まで調べると、窓辺から外の景色を眺めるのが楽しいことに気づきました。そしてゴリアテが家の中の見学を終えると、さっそく床の上でゴロンと転がって、リラックスした姿勢で身体を伸ばしながら眠りに落ちていきました。
ゴリアテはそれから毎日、家の至るところで養育主さんの後を追って、ゴロゴロと喉を鳴らし続けました。
「ゴリアテはがっしりとした大きな体格で、いつも満足そうにベッドで昼寝をしたり、柔らかいものをこねたりしています。そして、その甘くて愛情深い性格で、すでに多くの人達の心をとりこにしています」と保護施設のスタッフが話してくれました。
こうして建設現場で保護されたゴリアテは安全な室内生活を始め、オヤツを楽しんだり、養育主さんの愛情を受け取ったりしながら、幸せいっぱいの毎日を送っています。ゴリアテはもうこの先ずっと寒い夜を過ごしたり、お腹を空かせて路上を彷徨い歩く必要はないのです。
出典:littlewanderersnyc/lovemeow