アリアンヌさんとジョンさんが家の近くを歩いている最中に、毛の長い灰色の猫の姿を何度も見かけました。猫には家がなく、非常に強い警戒心を持っていました。
そしてある吹雪の夜のこと、夫婦が買い物から帰ってくると、家の庭に猫の姿を見つけて驚きました。
猫は常に人間のことを警戒していたため、夫婦の姿を見るとすぐにその場から逃げ出しました。この時の気温は氷点下だったため、夫婦は猫のことが心配になって、猫を助けることに決めました。
夫婦は猫が屋外用の椅子に掛けられていた防水シートの下に避難した可能性が高いと考え、その場所の近くにカメラを設置すると、猫用のご飯とお湯を置いて、猫が再び現れることを願いました。
すると数時間後、猫がバルコニーの階段に姿を現しました。そして、ご飯に気づくとすぐに駆け寄って、物凄い勢いで食べ始めました。「猫は一気にお皿を空にして、そこに留まりました。猫はまだお腹を空かせていました」と保護施設『シャトンズ・オルフランズ・モントリオール』のセリーヌさんが言いました。
アリアンヌさんは猫を驚かせないように気をつけながら、より多くのご飯を持って慎重に外に出ました。しかし、猫はアリアンナさんの気配に気づいたようで、怖くなってバルコニーから飛び降りました。
アリアンヌさんは猫の後を追って、猫に声をかけました。すると驚いたことに猫が鳴きながら暗い路地から戻ってきたのです。そして、アリアンヌさんが持ってきたご飯を食べるために、恐る恐るバルコニーの上に登ってきました。「猫は助けを求めているようでした。猫の全身の毛は絡まっていて、雪が積もっていました。」
夫婦は午前3時頃まで猫を家の中に入れようと試みましたが、残念ながら上手くいきませんでした。
翌日、夫婦は捕獲器を借りてきて、猫が避難した椅子の近くに設置しました。すると数時間後、ご飯の匂いに釣られた猫が、そのまま捕獲器の中へと入ったのです。「夫婦は猫を静かな部屋に運んで、『マーリン』と名付けました。」
出典:comrescuemontreal
その後、夫婦は保護施設に連絡をして、マーリンに必要な治療を受けさせました。「マーリンは獣医さんの診察を受けて必要な治療を行い、悪くなっていた歯を全て抜きました。」
その後、マーリンは養育主さんの家に移動して、社会化を学び始めました。最初はとても緊張していたマーリンでしたが、撫でられるとすぐに目を閉じて、養育主さんに鼻をすり寄せました。また喉のゴロゴロスイッチをオンにして、徐々に愛情を求め始めました。
「マーリンは自分の殻を破って、甘い猫へと変わりました。」
「マーリンはほとんど歯がないため、よく舌を出しています。彼は他の猫とも仲良くしていますが、人間のことを心から愛しています。彼は人間とハグをしたり、寄り添ったりするのが大好きです。」
マーリンはこれまで雨風に耐えながら数えきれないほどの夜を野外で過ごしてきました。でも今のマーリンは毎晩快適なベッドで横になって、猫の仲間達と一緒に幸せそうに眠っているのです。
「マーリンは撫でられるのが大好きで、そのお礼に鼻にキスをしたり、頭を擦りつけたりしてきます。」
「そんな甘えん坊なマーリンが人間にくっついていない時は、キャットツリーの上に登って、窓の外の小さな生き物や近所の人達の様子を興味深そうに眺めています。」
またマーリンは養育主さんの家で新しいオモチャや爪研ぎ、キャットニップなどを発見して、いつも楽しそうに過ごしているそうです。
「マーリンはみんなに注目されるのが大好きで、家の中の王様です。彼がハグやご飯を要求する時は、いつも甲高い声で鳴いてきます」とセリーヌさんが話してくれました。
こうして雪の降る中バルコニーに現れたマーリンは、優しい夫婦のおかげで新しい生活を始めることができました。これからもマーリンは安全な家の中で過ごしながら、幸せいっぱいの毎日を送っていくことでしょう。
出典:comrescuemontreal/lovemeow