人生に、もふもふを。

厳しい野外での生活の末、全身がボロボロの状態で見つかった野良猫。優しい人達の愛情で、その瞳に輝きを取り戻す

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ある日、カナダのモントリオールに住むマリー・イブさんが、自宅近くで助けが必要な野良猫の姿を見つけました。猫は全身の毛がボロボロになっていて、痛みに表情を曇らせていたそうです。猫の悲しそうな瞳は、マリーさんの心を強く揺さぶりました。

マリーさんはその日、猫の救出計画を実行しました。しかし猫を捕まえることは想像していたよりもはるかに困難なものでした。長く野外で生きてきた猫はとても警戒心が強く、人間や捕獲器に決して近づこうとしなかったのです。

しかし3週間後、空腹がピークに達した猫は、ご飯を求めて、ついに捕獲器の中へと入ってきました。マリーさんはようやく猫を保護することができ、ほっと胸を撫で下ろしたそうです。

マリーさんは猫を獣医さんのところに連れて行き、必要な治療をしてもらいました。また、ひどく絡まっていた全身の毛を短く刈ってもらったそうです。

その後、マリーさんは猫を地元の保護施設に連れて行きましたが、施設内は動物達がいっぱいで、引き取ってもらうことができませんでした。

そのためマリーさんは猫と一緒に帰宅し、猫のために快適なベッドを用意しました。猫はそのベッドがとても気に入ったようで、しばらくすると深い眠りについたそうです。

それは長く困難と戦い続けてきた猫が、ずっと望んでいた時間でした。猫はずっと身体に痛みを感じていて、安心して眠ることができなかったのです。

その後、地元の保護施設『シャトン・オルフラン・モントリオール』が猫の世話と追加の治療、そしてリハビリの提供を申し出ました。

「猫は頰に膿瘍(のうよう。細菌が傷から侵入し、皮膚下で増殖し、膿がたまった状態)や他の動物との戦いでできた傷があり、寒い時期を野外で過ごしてきたため耳には凍傷がありました。彼の身体の状態では次の冬を乗り越えることは不可能でした。まだ寒い季節を迎える前に保護されたことが、彼の命を救いました」と保護施設のセリーヌ・クロムさんが言いました。

セリーヌさん達は猫に『マルセル』と名づけました。4歳のマルセルはとても緊張していて、目を誰とも合わせたくなかったようで、診察室でも下を向いたままでした。

「マルセルは新しい環境をとても怖がっていました。彼の歯は数本欠けていて、凍傷や傷があり、これまでの生活がとても苦しかったことが伝わってきました。」

その後、マルセルは養育ボランティアのリリーさんの家で育てられることになりました。とても落ち着ける場所に来たマルセルは、1日も経たないうちに物陰から出てきて、リリーさんの膝の上に登ってきたそうです。

「マルセルはそのままリリーさんに寄り添いながら眠りにつきました。それはマルセルにとって、新しい人生の始まりでした。初めは少しの音でも驚いていましたが、ここが安全な場所だと分かると、いつも穏やかな姿を見せてくれるようになりました。」

マルセルは6.3kgほどの体重がある大きな猫です。マルセルは日々力強くなっていますが、心の中は子猫のままだそうです。

保護から数週間が経つ頃には、マルセルは完全に自分の殻から出てきて、いつもリリーさんに愛情を求めるようになりました。マルセルはリリーさんに話しかけられるとすぐに駆け寄って来て、寝る時間になると抱っこを要求してくるようになったそうです。

「マルセルは毎日たっぷりと甘やかされ、愛情いっぱいのハグをしてもらっています。そんな日々を過ごしているうちに、彼の表情は幸せなものへと変わっていきました。」

「マルセルは今までに多くの困難に直面してきました。でも今はリリーさんの愛情と世話のおかげで、彼の心は大きく開花しました。」

そして、保護から2ヶ月後。
マルセルは新しい里親さんを見つけ、生涯の家へと旅立っていきました。マルセルはすぐに里親さんのことが好きになり、幸せな毎日を送っているそうです。

今のマルセルの姿を見ていると、救出された時と同じ猫だとは信じられません。マルセルの瞳からは完全に悲しみが消え去り、代わりに喜びと愛情で満たされたのです。

こうしてボロボロの状態で見つかったマルセルは、優しい人達のおかげで見違えるほどの変化を遂げることができました。その嬉しそうなマルセルの姿を見ていると、人間の愛情にどれだけ動物達を変える力があるかがよく分かりますね。
出典:Rescuechatonsmontreallovemeow

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