ある日、ずっと路上を彷徨い歩いていた猫の『ブラックジャック』が、暖かさと安らぎを求めてバルコニーに姿を現しました。
その後、若い女性がブラックジャックを世話するために家に連れて帰りましたが、結局多く猫達との共同生活になってしまい、病気が適切に治療されず、容態が日に日に悪化していきました。そんな中、動物の保護活動を行っている人達がこの家から10匹の猫を救い出し、その中の1匹がブラックジャックでした。
彼らがブラックジャックを見つけた時、ブラックジャックは目を開けることができませんでした。しかし、助け出された瞬間からブラックジャックの人生は良い方向へと変わり始めました。
「ブラックジャックは感染症で鼻と目が塞がれていて、ひどい状態で私達の施設に運ばれて来ました。彼は空腹だったため、ご飯を物凄い勢いで食べ始めました」と保護施設『シャトンズ・オルフランズ・モントリオール』のスタッフが言いました。
ブラックジャックは上気道感染症の治療を受けて、一日のほとんどの時間を休息と回復に費やしました。
しばらくの間、ブラックジャックは物陰に引きこもって、ほとんどその場所から動くことなく一日中寝て過ごしました。「ブラックジャックの体力が回復するにつれて、養育主さんはブラックジャックが歩く時に足を引きずっていることに気づきました。」
保護施設のスタッフ達がブラックジャックを動物病院に連れて行くと、みんなが予想していたよりもはるかに多くのケアが必要なことが分かりました。
「感染症は治ったものの、ブラックジャックはまぶたが内側に巻き込まれている『眼瞼内反症(がんけんないはんしょう)』だと分かりました。彼はまぶたの痛みで目をあまり開けることができませんでした。さらに彼は複数の歯が悪くなっていて、歯を抜く必要がありました。」
多くの人達の支援を受けて、ブラックジャックはまぶたの手術と歯の治療を行いました。これによってほとんどの歯を失ったブラックジャックでしたが、全ての痛みや不快感から解放されました。
何年も苦労しながら生きてきたブラックジャックは、人間のことが信じられなくなっていましたが、養育主さんは決して諦めませんでした。「ブラックジャックの身体の回復には多くの時間がかかりました。私達は彼が社会化し、ストレスのない生活が送れるようになることを強く望んでいました。」
「私達はブラックジャックにもう孤独ではないこと、そして最悪の状況が過ぎ去ったことを伝えようとしました。」
養育主さんはブラックジャックと同じ部屋で長い時間を過ごし、ブラックジャックの好物のオヤツを食べさせたりしながら、少しずつ信頼関係を築こうとしました。そんな養育主さんのおかげでブラックジャックは徐々に物陰から出てきて、周囲に興味を示すようになったのです。
「養育主さんがブラックジャックの元にご飯を持って行くと、彼はそっと養育主さんの足に手を置くようになって、愛らしい声で『ニャー』と鳴くようになりました。」
ブラックジャックが少し足を引きずっていたのは、曲がったまま治った古い怪我が原因でしたが、そのような状態の中でもブラックジャックは充実した毎日を送り始めました。ブラックジャックは他の猫のようにジャンプすることはできませんが、驚くほどの回復力で部屋の中を歩き回れるようになりました。またブラックジャックは耳が聞こえませんが、そのことによって行動が制限されることはありませんでした。
ブラックジャックは人間と接することに対して自信が持てるようになって、次第に家の中の他の場所に足を踏み入れるようになりました。そして他の猫の存在に気づくと、嬉しそうに目を輝かせました。「ブラックジャックは他の猫達と友達になろうとして話しかけました。」
ブラックジャックは他の猫達の後を追いかけて、窓の外の景色を一緒に楽しんだりするようになりました。
現在7歳のブラックジャックはこれまでに様々なことを経験し、その全てを乗り越えてきました。ブラックジャックは耳が聞こえず、FIV(猫免疫不全ウイルス感染症)が陽性ですが、いつも愛情いっぱいで猫の友達と過ごす時間を心から楽しんでいるのです。
「ブラックジャックは自分の殻を破って、毎日進歩し続けています」と保護施設のスタッフが話してくれました。
こうしてかつては臆病で、全身がひどい状態だったブラックジャックは、フワフワの毛並みの元気な猫へと生まれ変わりました。今のブラックジャックは猫の友達との生活を楽しんでいて、みんなに愛されていることに喜びを感じながら、毎晩幸せそうにぐっすりと眠っているのです。
これからもブラックジャックはたくさんの愛情を感じながら、いつまでも幸せいっぱいの毎日を送っていくことでしょう。
This post was published on 2024/12/18