ある日、カリフォルニアのアグーラヒルズにある動物病院に、脊椎を損傷した野良猫の『ファーガス』が運ばれてきました。「病院に来た時のファーガスは、背中の半分から下が麻痺していました」と獣医のレイチェル・ウォーラックさんが言いました。
「私達がファーガスの状態を確認すると、後ろ足とシッポに感覚があることが分かりました。でも彼はそれらを動かすことができませんでした。私達は彼の身体を隅々まで調べて、彼が再び歩くことができる可能性があると感じました。」
レイチェルさん達はファーガスの回復には非常に多くの時間が必要なことが分かったため、ファーガスを病院で受け入れて治療を続けることに決めました。
レイチェルさん達は最初にファーガスの痛みと尿路感染症の治療を行い、ファーガスが何かの感覚を取り戻すたびにお祝いをしました。そして数週間治療を続けたファーガスは、ついにひとりで立ち上がることができるようになったのです。
「ファーガスが再び立ち上がれたのは、私達の治療によるものだけではありませんでした。彼は他の猫と会うために一生懸命に立ち上がろうとしました。」
ファーガスが立ち上がった日は、動物病院に子猫の『サルバドール』がやって来た日でした。
「私達がファーガスのケージの前に階段を置くと、サルバドールが挨拶をするために階段を登り始めました。そんなサルバドールのことを迎えようとして、ファーガスが初めて立ち上がりました。その姿を見た私達は思わず飛び上がって喜びました!」
その後、ファーガスが自分の周りを探索するのに十分な力を取り戻すと、病院内を歩き回るようになり、新しい友達に次々と出会いました。「ファーガスは熱中症から回復中の犬に出会い、一日中犬のそばに寄り添い続けていました。」
また、親のいないアヒルのヒナと出会った時も、ピッタリとヒナに寄り添いながら温かさと快適さを与え続けていました。そんなファーガスの姿を見たレイチェルさん達は、ファーガスが何か特別なものを持っていることに気づいたのです。
「ファーガスは病院にやって来る動物達を毛づくろいして、身体が清潔に保たれているかを確認するのが大好きです。そんな面倒見の良い彼の元に、ある日保護されたばかりの10匹の子猫達がやって来ました。」
子猫達の中に1匹だけ危険な状態で、つきっきりの看護が必要な子猫がいました。他の9匹の子猫達はすぐに養育主さんの家に向かいましたが、その子だけはそのまま病院に残って、ファーガスの看護を受けることになりました。
『スカイウォーカー』と名付けられた子猫は、道路の脇で動かなくなっていたところを発見されました。「スカイウィーカーは瀕死の状態で保護されて、なかなか回復する兆しが見えませんでした。私達は彼のノミを全て綺麗にして、ファーガスに会わせてみることにしました。」
ファーガスはスカイウォーカーに出会うとすぐに愛情を注ぎ始めました。そのおかげでスカイウォーカーは徐々に元気を取り戻し、ついに自らご飯を食べるようになったのです。
ファーガスはスカイウォーカーが健康な状態に戻るための手助けをし、スカイウォーカーが里子に出られるようになるまでずっとそばに寄り添い続けていました。
その後、『オリバー』という名前の子猫がシッポを怪我した状態で病院に運ばれてきました。勇敢なオリバーは手術の翌朝には随分と落ち着いて、大きな声で鳴くようになりました。
スタッフ達はオリバーの治療にピッタリの看護師がいることを知っていました。さっそくスタッフ達がファーガスを紹介すると、オリバーはすぐにファーガスの腕に頭を擦りつけて、寄り添いながら眠りに落ちていったそうです。
ファーガスは困っている動物達が何を必要としているかを分かっていて、自分が何をすべきかを知っているのです。
こうして動物病院で怪我を治してもらったファーガスは、そのまま病院に残り、新しい人生をスタートさせました。ファーガスは自分を助けてくれた人達にいつも感謝していて、困っている動物達にたくさんの愛情を返し続けているのです。
出典:wrennrescues/oaksvetcare/lovemeow
This post was published on 2024/07/08