猫の姉妹『セリア(キジトラ)』と『グラディス(サバトラ)』は野良猫のコロニーで一緒に育ち、切っても切れない絆を共有していました。
ある日、この地域に住む猫を助けに来たシモーネさんが、姉妹のうちのひとりが子猫を出産したことに気づきました。「セリアとグラディスは一緒に子育てを始めました」と保護施設『シャトンズ・オルフランズ・モントリオール』のセリーヌ・クロムさんが言いました。
この地域は子猫を育てるには安全な場所ではなかったため、シモーネさんは捕獲器を設置して、猫の家族全員を保護することに決めました。
「シモーネさんは捕獲器を設置すると辛抱強く待ち続け、何とか全ての猫を保護することに成功し、地元の動物病院に連れて行きました。その後、猫達の診察をした動物病院のスタッフ達は、安心して子育てができる場所を用意しました。」
セリアとグラディスは子猫達が離乳し、里子に出られるようになるまで一緒に子育てを続けました。
その後無事に全ての子猫に素敵な家が見つかりましたが、セリアとグラディスは路上での生活が長かったため、人間と暮らすためには社会化を学ぶ必要がありました。
動物病院のスタッフ達は保護施設に連絡をして、セリアとグラディスを世話することができるかを尋ねました。セリーヌさんはすぐに猫達を迎え入れると、養育主さんの家へと連れて行きました。
「グラディスは次第に養育主さんのことを受け入れて、養育主さんの気を引くようになっていきました。一方のセリアはグラディスより臆病で控えめな性格だったため、常にグラディスの後ろをついて回っていました。セリアはグラディス無しではどこにも行くことができませんでした。」
快適な家の中で数日過ごした後、グラディスは随分と人間慣れして、好奇心旺盛な性格が表に出てきました。グラディスは養育主さんとの交流を心から楽しみ始め、養育主さんのしていることに興味を持つようになりました。
一方のセリアは相変わらずグラディスの後を追って、グラディスに慰めを求めました。そんなセリアの気持ちを落ち着かせるために、グラディスは愛情いっぱいの毛づくろいを続けました。
「セリアは完全にグラディスに依存していました。彼女にはグラディスが必要で、寝ている時もグラディスのそばから離れることはありませんでした。」
「セリアは人の気配がするとすぐに物陰に隠れますが、グラディスの姿を見て安全だと分かるとゆっくりと物陰から出てきます。セリアはほとんど全てのことをグラディスと一緒に行っています。」
そんなセリアはグラディスが養育主さんと交流する姿を何度も目にしているうちに、自分も勇気を出して少しずつ養育主さんに近づいて行くようになりました。
「グラディスは養育主さんがソファーに座ると駆け寄ってきます。するとセリアがグラディスの後からやって来て、グラディスの隣に腰を下ろします。」
また養育主さんがパソコンで猫の声が入った動画を再生した時も、セリアはグラディスの後に続いて調査しにやって来ました。
ふたりは暖かい窓辺で寄り添って、日光浴をしたり、窓の外の小さな生き物や近所の人達のことを眺めたりすることが好きになりました。
「セリアは少しずつですが、確実に人間に歩み寄ってきています。ふたりは生涯の家でも自分達の殻から抜け出すための時間が必要で、特にセリアは長い時間が必要になることでしょう。私達はふたりの変化を辛抱強く待ってくれる、愛情深い家族を探しています」とセリーヌさんが話してくれました。
セリアとグラディスは生まれた時からずっと一緒で、路上での生活を力を合わせて乗り越え、子育てを一緒に行なってきました。ふたりは現在、家の中での新しい生活を愛していて、明るい未来に向かって歩み続けているのです。
きっとふたりは生涯の家族の元で完全に心を開き、お互いに愛情を注ぎ合いながら、いつまでも幸せな毎日を送っていくことでしょう。
出典:Rescuechatonsmontreal/lovemeow
This post was published on 2024/02/10