猫の『ハーパー』は3週齢の時に、アラスカに住む家族によって保護されました。ハーパーは両方の後ろ足が麻痺していて、動かすことができませんでした。
発見された時のハーパーは、ちょうど母猫に咥えられて運ばれている最中でした。しかし、人間の気配に驚いた母猫が1mほどの高さからハーパーを落としてしまったのです。
家族は取り残されたハーパーを保護すると、地元の保護団体に助けを求めました。その後、ハーパーを受け取った保護団体は、地元の保護施設『アラスカ・カーツ』へと連絡をしました。
「私達はいつも一緒に活動している保護団体から連絡を受けました。彼らはハーパーが生きていくためには、特別な場所が必要なことを知っていました」と保護施設のシャノン・アール・バスナーさんが言いました。
ハーパーはいくつかの健康上の問題を抱えていましたが、とても強い意志を持っていて、どんな時も前向きでした。
保護された時のハーパーは自分でご飯を食べることができませんでした。そこで施設のスタッフ達はハーパーが健康な状態に戻るまで、2〜3時間おきにご飯を食べさせ続けました。
「私達がハーパーをレントゲン撮影すると、彼の後ろ足がずっと前から麻痺していたことが分かりました。私達の医療チームは、彼が産道を通る時に怪我を負ったのだろうと考えています。」
後ろ足にハンデを負っているハーパーですが、誰もハーパーの行動を止めることはできません。元気を取り戻したハーパーは前足を上手に使って、自分の周りを動き回れるようになったのです。
また、ハーパーは保護された時からハグが大好きでした。そこでスタッフ達はハーパーの周りを色々なオモチャで囲み、抱きしめることのできるヌイグルミを用意しました。しかし、ハーパーはオモチャやヌイグルミだけでは満足できなかったようです。
そこでシャノンさんはハーパーを自宅に連れて帰って、先住犬を紹介することにしました。
「私の家には猫好きの犬が3匹住んでいます。中でも『シンダー』は子猫達を安心させる不思議な力を持っています。」
長い間、森の中で生きてきた保護犬のシンダーは、他の保護犬や保護猫達にたくさんの愛情を注ぐ、心優しい犬のお母さんでした。
そんなシンダーにハーパーを紹介すると、一瞬でハーパーのことを迎え入れてくれました。どうやらハーパーの方もすぐにシンダーのことが好きになったようで、シンダーの腕に鼻を擦り付けながら、大きな音で喉を鳴らし始めたそうです。
ハーパーはシンダーのおかげでここが安全な場所だと理解し、シンダーに擦り寄ることで幸せに包まれました。
その後、ハーパーが十分に大きくなった時、シャノンさんはハーパーのために車椅子を用意しました。
「ハーパーは最初、ゆっくりと歩き始めました。私は彼と一緒に遊びながら、徐々に彼を車椅子に慣らしていきました。今の彼はすっかり車椅子を気に入っていて、いつも私の周りを勢いよく動き回っています。」
シンダーは毎回、運動後のハーパーの足を優しく毛づくろいします。シンダーはいつもハーパーにイタズラをされますが、とっても優しいシンダーはどんなにもみくちゃにされても許してあげているそうです。
「お互いに保護されたシンダーとハーパーは強い絆を築き上げました。ハーパーはとっても好奇心が旺盛で、彼の個性はさらに輝きを増してきています。」
「シンダーに寄り添っている時のハーパーは、大きな音で喉を慣らし続けています。そんなハーパーの姿を見ながら、シンダーはいつも優しい表情になります。その表情は私達の心をいつも温めてくれます。」
一方、ハーパーの母親と兄弟を探し続けていた保護団体は、無事に母猫と兄弟を保護することに成功したそうです。
ハーパーは保護された時から随分と成長しましたが、相変わらず甘えん坊で、まるで幼い子猫のように大好きなシンダーにいつもしがみついているそうです。
「シンダーもハーパーと遊ぶのが大好きで、今でもハーパーのことを赤ちゃんのように甘やかしています。」
「ハーパーは元気いっぱいの優しい男の子になりました。彼は愛情いっぱいのシンダーのおかげで、素敵な猫へと成長しています」とシャノンさんが嬉しそうに話してくれました。
こうして後ろ足を麻痺していたハーパーは、シャノンさん達のおかげで新しい生活を始めることができました。いつも大好きなシンダーにたくさんの愛情を注がれているハーパーは、これからも車椅子を上手に操作しながら、安全な家の中で幸せいっぱいの毎日を送っていくことでしょう(*´ω`*)
出典:AlaskaHumaneSocietyCats/lovemeow
This post was published on 2023/11/02