ある日、ロサンゼルスの砂漠で妊娠中の猫が見つかりました。猫は背骨に大怪我を負っていて、後ろ足を動かすことができなくなっていました。しかし、そんな状態にも関わらず、生きることを決して諦めなかったのです。
猫は地元の保健所に運ばれ、そこで『トリクシー』と名づけられました。
「トリクシーは大怪我を負っていましたが、奇跡的に生き残りました。おそらく彼女はお腹にいる赤ちゃん達のために、何としても生きなければならなかったのでしょう」と保護施設『ミロズ・サンクチュアリ』のスタッフは言いました。
その後、出産に入ったトリクシーでしたが、下半身の感覚がなかったため、2匹の子猫は産声を上げることはありませんでした。スタッフ達はすぐ獣医さんのところにトリクシーを運び、残りの4匹の子猫を帝王切開で出産させたそうです。
「奇跡的に4匹全員が生き残りました。出産を終えたトリクシーは子猫達にミルクを飲ませ、毛づくろいをして、愛情を注ぎ始めました。」
トリクシーは4匹以外にも、母親のいない2匹の子猫も育て始めました。2匹は養育主のダイアン・カービーさんに育てられていたのですが、そこにトリクシー親子がやって来たそうです。
トリクシーは歩くことができないにもかかわらず、子猫達の世話を決して止めることはありませんでした。トリクシーは常に子猫達と一緒に過ごし、授乳や毛づくろいを続けたのです。
その後、子猫達が十分に成長すると、全ての子猫が新しい里親さんの元へと旅立って行きました。しかし、身体に障害のあるトリクシーは、いつまでも引き取られることはなかったのです。
「保健所はトリクシーを安楽死させるため、トリクシーを戻すようにダイアンさんに言ってきました。でもダイアンさんはトリクシーの命を絶つことを完全に拒否しました。」
そしてダイアンさんは、障害のある猫達の世話を専門に行なっている保護施設『ミロズ・サンクチュアリ』に連絡をしたのです。
「私達の養育ボランティアの1人が、トリクシーの写真を見て一目惚れしました。彼女はトリクシーを家族の一員として迎えたいと伝えてきました。」
その後、トリクシーが養育ボランティアのゾーイ・セスラーさんに会うと、大きな音で喉を鳴らし始めました。さらにトリクシーはゾーイさんに抱きついて、頭を擦りつけてきたのです。それはまるでトリクシーが、生涯の家に着いたことを知っているかのようでした。
保護施設のスタッフ達は保護される前のトリクシーが、どのような人生を送ってきたかは分かりません。でもトリクシーのこれからの人生がたくさんの愛情で満ち溢れ、幸せな人生を送れることを知っているのです。
「トリクシーは現在、新しい家でとても大切にされていて、たっぷりと甘やかされています。彼女はこれからもずっと、安全な家の中で幸せな時間を過ごしていくことでしょう。」
こうして大怪我を負いながらも決して命を諦めなかったトリクシーは、安全な家の中で第2の人生を始めることができました。トリクシーは現在、ゾーイさんの愛情を全身で感じながら、幸せな毎日を送っているそうです。
出典:milos_sanctuary/lovemeow
This post was published on 2019/03/18