ある日、茶トラ猫が路上で発見されて、地元の保護施設に運ばれてきました。その猫の過去を知る人はいませんでしたが、猫が妊娠中で出産がすぐそこまで迫っていることは明らかでした。
保護施設のスタッフ達は最善を尽くそうとしていましたが、授乳中の母猫と生まれたばかりの子猫にとって、騒音や匂い、そして身の回りで絶え間なく動いているものがある環境は耐え難いものでした。生まれたばかりの子猫はどの保護施設でも最も弱い存在の1つで、少しのストレスで母猫と子猫の両方に危険を及ぼす可能性があります。そのため保護された猫を安全で静かな環境に移すことは急務でした。
そしてその日の夜、スタッフ達が計画を立て終わる前に、猫は子猫達を出産しました。
子猫達は全部で7匹で、茶トラ猫が2匹、クリーム猫が2匹、キジトラ猫が3匹でした。そんな猫の親子の話を聞いた経験豊富な養育ボランティアのロリ・ホワイトさんは、ためらうことなく自宅を開放しました。
その後、母猫は『キット』と名付けられ、7匹の子猫達はそれぞれカリブ海にちなんだ名前がつけられました。その過程でネット上のフォロワー達は、子猫達の名前の選択について熱心に意見を交わしました。
キットはまるでここが自分のいるべき場所だとずっと知っていたかのように、すぐに新しい環境に馴染みました。キットは最初から人懐っこくて温かく、一日に何度もロリさんと言葉を交わしました。それは世話をしてくれるロリさんへの感謝の気持ちの表れでした。
「キットは素晴らしいお母さんで、子猫達にいつも気を配っています」とロリさんが言いました。キットは部屋の中で何か新しい音や匂い、初対面の人の顔が現れるたびに、すぐにそちらに目を向けて、静かに子猫達に寄り添いながらジッと様子をうかがいました。そして安全が確認できると、何事もなかったかのように授乳と毛づくろいを再開しました。
7匹全ての子猫達にミルクを与えるのは簡単なことではありません。キットはたくさんのミルクを作り出すために、ウェットフードを1日に3〜4缶、さらにドライフードもたくさん食べました。
そんなキットですが、どうやらベビーサークルには物申したいことがあったようで、食事でサークルの外に出されるたびに、子猫達を別の場所に移そうとしました。
親子が過ごしていた地下室には柔らかい毛布や電気ヒーターがあり、ナイトライトによって暗く静かに保たれていましたが、キットの猫の本能が部屋の外にはもっと良い場所があると告げていました。ロリさんは最初の1週間、子猫達を暖かくて安全な場所に留めながら、キットにもう少し息苦しさを感じさせないようにする方法を模索し続けました。
親子に家を開放して以来、子猫達の体重測定は毎日の習慣になり、キットはいつもその様子を注意深く見守っていました。目標は子猫ひとりあたり1日10gの体重の増加で、ロリさんと家族は子猫達の目が開く瞬間を心待ちにしていました。
そんな中、一番体が小さい茶トラ猫の『ルーシー』と一番大きな『カイコス』が、同じ授乳場所を巡って激しい戦いを繰り広げていることがよくありました。
そして2週目が終わる頃には、子猫達は随分と大きく成長していました。好奇心旺盛な子猫達はますます大胆になって、暖かい寝床から離れて、周りの世界に目を輝かせながらヨチヨチと動き回っていました。
子猫達全員が健康で元気に過ごしていたため、キットは家の1階を自由に歩き回るようになりました。キットは自分で選んだ場所に子猫達を移動させて、ロリさんはその決定を完全に尊重しました。
現在、子猫達はフラフラする頭を一生懸命に支えようと頑張っていて、小さな首の筋肉は日に日に強くなってきています。キットはそんな子猫達の様子を穏やかにゆっくりと見守っています。キットがゴロゴロと鳴らす喉の音は、まるで規則正しい心臓の鼓動のように部屋中を満たしているそうです。
キットはあの日、出産間近な体で保護されました。今では自分が選んだ暖かい場所と、自分を溺愛してくれる人達、そして大切な7匹の子猫達に囲まれて大きな幸せを感じています。
子猫達が里子に出る準備ができたらキットは子育てを卒業して、生涯の家族を見つけて静かな生活を送り始めることでしょう。幸いなことに愛情深いキットは既に大きな注目を集めています。先日、地元の朝のニュース番組で親子全員がテレビデビューを果たし、キットの元には世界中から温かいメッセージが届いているそうです(*´ェ`*)
This post was published on 2026/04/30