ある日、30匹以上の野良猫がいるコロニーでTNR活動(野良猫の不妊去勢手術を行い、元の場所に戻す活動)を行っていた人達が、懇願するような目で見つめてくる子猫の姿に気づきました。
子猫は動物病院に運ばれて、そこで軽い感染症の治療を受けました。その後、地元の保護施設『スパークル・キャット・レスキュー』の共同創設者のステファニー・グランサムさんが子猫の話を聞くと、子猫を引き取って、愛情深い里親さんを見つける手伝いをすることを申し出ました。
「動物病院で初めて子猫に会った時、彼女は『シャー!』と威嚇してきましたが、決して私を噛んだりすることはありませんでした」とステファニーさんが言いました。
『ヘイゼル』と名付けられた子猫は非常に警戒していて、ステファニーさんが手を伸ばすと叩こうとしてきました。ヘイゼルは必死に強がろうとしていましたが、その叩き方は威圧的というよりも愛らしいものでした。その後、ステファニーさんが背中を撫でることに成功すると、ヘイゼルは抵抗するのをやめて、もっと撫でて欲しそうに寄りかかってきました。
「ヘイゼルは抱きしめられて撫でられると、すぐにとろけてしまいました。」
ヘイゼルは最初、人間を警戒してシッポを激しく振っていました。しかし、撫でられることがどれだけ心地良いかに気づいた途端、すっかりリラックスして体を撫でさせてくれるようになったのです。そんなヘイゼルでしたが、まだ完全に人間のことを信頼することができなくて、シッポを振ることがよくありました。
その後、養育ボランティアのロリさんがヘイゼルを自宅に迎え入れました。ヘイゼルは新しい環境に戸惑って、それから2日間ベッドの下に隠れながら過ごしていました。
「その話をステファニーさんにすると、ヘイゼルをペットサークルに入れることを提案してくれて、そのアドバイスが本当に役に立ちました」とロリさんが言いました。
「ペットサークルに入ってから数日間はとても緊張していたヘイゼルでしたが、少しずつ本来の性格が表に出てきました。今では私が遊びに行くと挨拶しに来てくれて、撫でられることに大きな喜びを感じています。」
「飼い猫の『チャーリー』もチャンスが訪れるたびにペットサークルに入って、ヘイゼルと挨拶を交わしています。」
「ふたりはお互いに匂いを嗅ぎ合ったり、チャーリーがヘイゼルのことを毛づくろいしたりしています。きっとヘイゼルがペットサークルから出られるようになったら、ふたりはさらに仲良くなることでしょう。」
ロリさんの家で自信をつけていくにつれて、ヘイゼルは好奇心が増していって、ペットサークルの端でくつろいだり、外に出ようとしたりするようになりました。
そんな中、ヘイゼルはロリさんにすっかり気を許して、より多くの愛情を求めるようになりました。そんなヘイゼルのお腹をロリさんが撫でると、ヘイゼルは嬉しそうに転がったり、仰向けになったりしながら、夢中でナデナデを楽しむようになりました。
そしてロリさんの元で1週間を過ごしたヘイゼルは、ついにペットサークルから出ることを決心したのです!
「ペットサークルを出たヘイゼルは少し不安そうにしていましたが、その日の夜を迎える頃にはすっかり部屋の環境に馴染んでいました。ヘイゼルは部屋の中を何度も行ったり来たりしながら、元気いっぱいに飛び跳ねるようになりました。」
ヘイゼルはもう路上でひとりで過ごす必要も、お腹を空かせながら食べ物を探し回る必要もありません。今のヘイゼルは愛情深い人達や猫の友達と一緒に過ごしながら、家猫として生きていくために必要なことを学んでいて、幸せな未来に向かって歩み続けているのです。
ヘイゼルは生まれた時からずっと野外で過ごしてきましたが、今は快適な室内生活を完全に受け入れていて、もう後ろを振り返ることはありません。
「ヘイゼルはとっても愛らしい子猫です。きっと彼女の前には素敵な里親さんが現れて、いつまでも幸せに満ちた毎日を送っていくことでしょう」とロリさんが嬉しそうに話してくれました(*´ェ`*)
This post was published on 2025/04/29