1匹の茶トラの猫が雑然とした庭で隠れながら暮らしていました。猫はたくさんのゴミの山に溶け込みながら、何度も極寒の冬を乗り越えてきました。
そして今年も耐え難い寒さの季節がやって来ると、壊れた家具で身を守りながら、何とか暖を取ろうとしていました。「猫は孤独で、どこにも逃げる場所がありませんでした」と保護施設『シャトンズ・オルフランズ・モントリオール』のセリーヌ・クロムさんが言いました。
ある日のこと、猫の姿を発見したベロニカさんが、猫の目が傷ついていることに気づいて、動物の保護活動を行っているジェスさんに連絡をしました。
ジェスさんが猫の窮状を知ると、すぐに現場に向かって捕獲器を設置しました。すると空腹でご飯の匂いに抵抗できなかった猫は、すぐに捕獲器の中へと入ってきました。「猫は怯えていて、誰も近づかせようとはしませんでした。でも少しずつ落ち着いていって、最初の夜を暖かい家の中で過ごしました。」
こうして『シャーロック』と名付けられた猫は、厳しい寒さに耐え続ける日々を終わらせることができたのです。
「FIV(猫免疫不全ウイルス感染症)が陽性のシャーロックは、野良猫として暮らしていた時に負った古い傷が原因で、左目に白い斑点がありました。シャーロックはジェスさんの暖かい家の中で過ごし、十分にご飯を与えられましたが、非常に臆病でずっと物陰に隠れ続けていました。」
保護から数週間もの間、ジェスさんが近づこうとするたびにシャーロックは「シャー!」と音を立てて攻撃してきましたが、ジェスさんは決して諦めませんでした。
時間が経つにつれて、ジェスさんはシャーロックが難聴で、それが原因で驚きやすいことに気づきました。ジェスさんはシャーロックを社会化させるために、さらに優しくアプローチを試みて、人間が信頼できる存在だということを示しました。それから長い時間がかかりましたが、シャーロックはゆっくりと自分の殻から出てました。
ジェスさんはシャーロックの信頼を得るために辛抱強く接し続け、同時にシャーロックに必要なケアを提供できる保護施設を探しました。
セリーヌさん達はそんなシャーロックを受け入れて、まだ完全に社会化されていないシャーロックのために養育主さんを手配しました。
「シャーロックは非常に緊張しながらも、獣医さんの診察を受けました。彼の片方の目には古い傷がありますが、もう片方はよく見えています。」
「シャーロックの聴力は非常に限られているようです。彼は軽い上気道感染症を治療した後、養育主さんの家に行って新たな人生を歩み始めました。」
シャーロックは推定年齢が7歳で、これまでずっと人間のことを避けながら生きてきましたが、初めて人間のことを受け入れて、一緒に楽しむことを学びました。
「長い間、シャーロックは独りぼっちで怪我をした状態で生きてきましたが、今は安全で暖かい家の中にいます。」
シャーロックが新しい住まいに慣れると、愛らしい性格が輝き始めました。シャーロックは毎日少しずつ養育主さんに近づいていって、ついに養育主さんの隣で過ごせるようになりました。そしてある日シャーロックは、養育主さんの膝の上に前足を乗せて、寄り添いながら眠りに落ちていったのです。
シャーロックの目からは恐怖の色が消えて、とっても穏やかな表情になりました。シャーロックはいつも養育主さんの膝の上で昼寝をしたがるようになって、膝の上が大好きな猫へと生まれ変わりました。
シャーロックは長い間、危険から身を守る方法しか知りませんでした。でも今はご飯や避難場所を心配する必要がなくなり、リラックスしながら自分らしくいられるようになりました。ずっと心の奥に眠っていたシャーロックの本当の気持ちが、たくさんの愛情で完全に開花したのです。
「シャーロックは優しさと愛情で成長しています。彼は安全で暖かい毎日が送れるようになったことにとても感謝しています」とセリーヌさんが話してくれました。
シャーロックはずっと雑然とした庭に隠れていた臆病な猫でしたが、優しい人達のおかげで甘えん坊な猫へと変わりました。きっとシャーロックの前には素敵な里親さんが現れて、いつまでも愛情溢れる家の中で、幸せいっぱいの毎日を送っていくことでしょう。
出典:comrescuemontreal/lovemeow
This post was published on 2024/12/01