ある日、家の庭に妊娠中の野良猫がやって来て、そのまま庭の中で出産を始めました。そして2匹の子猫を産んだ母猫は、強い雨が降り出したため、別の場所に引っ越すことに決めました。しかし、母猫は子猫をひとりだけ咥えていって、残りの子猫をそのまま庭に置いていってしまったのです。
子猫を見つけた家族は母猫が戻ってくるのを待ちましたが、残念ながら母猫が姿を現わすことはありませんでした。そこで家族が地元の保護施設『リトル・ワンダラーズ・NYC』に助けを求めると、子猫の窮状を知ったスタッフ達がすぐに現場に駆けつけました。
「子猫の身体は濡れていて冷たくなっていました。子猫は未熟なまま生まれて、命を繋ぐことができるか分からない状態でした」とスタッフが言いました。
子猫の話を聞いた養育ボランティアのアシュリーさんは、体重が僅か71gの小さな子猫を引き取りました。「私は子猫にミルクを与える前に、彼女の冷えた身体を温めました。彼女が最初の夜を乗り越えられるか分かりませんでしたが、何とか命を繋ぐことができました」とアシュリーさんが言いました。
それから数日間、アシュリーさんはほとんど眠らずに、2時間おきに子猫にミルクを飲ませて看護を続けました。アシュリーさんは子猫を救うために全力を尽くしました。
そんな中、子猫の未発達な消化管が原因で問題が起こったため、アシュリーさんは急いで子猫を救急病院へと連れていきました。
生まれた時から非常に身体が小さかった子猫ですが、その強い意志とアシュリーさんの適切な看護のおかげで少しずつ回復していき、ついに食欲を取り戻すことができました。
「子猫が生後1週間を迎えた時、私は彼女がもう大丈夫だろうと確信しました。そして2週間を迎えた時、彼女は平均的な子猫のサイズに追いつきました。」
その後、子猫は『チヒロ』と名付けられました。チヒロは大きくなることを決意していて、食事の時間が来るたびにたくさんのミルクでお腹を膨らませました。そしてお腹を満足させると、快適な寝床の中で次のミルクの時間が来るまでぐっすりと眠り続けました。
チヒロの目が開き始めると、すぐに好奇心旺盛な一面が現れました。チヒロは哺乳瓶を持ったアシュリーさんの姿を見るたびに興奮して、すぐにミルクを飲む準備を整えました。
またチヒロは遊ぶことに興味を示し始め、アシュリーさんはその姿に喜びを感じました。
アシュリーさんはチヒロが格闘したり、かじったりできるように、小さなヌイグルミをプレゼントしました。するとチヒロはすぐにヌイグルミに興味を持って、楽しそうに遊び始めました。
チヒロがさらに活発に動き回るようになると、アシュリーさんはチヒロをベビーサークルに移動させました。するとチヒロはすぐに歩き方を学んだり、ジャンプ力を鍛えたりしながら、日に日に猫のスキルを磨いていきました。
そんなチヒロにアシュリーさんは先住猫の『レーザーボーイ(黒白猫)』と『ビスケット(キジトラ猫)』を紹介しました。すると早速レーザーボーイがベビーサークルの中でチヒロのベビーシッターを始めて、愛情いっぱいに毛づくろいをしたり、遊び方を教えたりし始めました。
また新入り猫が家に来ることをあまり好まないビスケットも、チヒロには自分が必要だと感じたようで、毎日チヒロにたくさんの愛情を注ぐようになりました。
その最中も保護施設のスタッフ達はチヒロの母親と兄弟をずっと探し続けていました。そしてついにスタッフ達は親子全員を路上から保護することに成功しました。
一方、アシュリーさんの元ですくすくと成長を続けたチヒロは、家中を歩き回れるようになって、色々なイタズラを仕掛けたり、先住猫達に突撃してプロレスごっこをしたりするようになりました。
チヒロは勇敢で、活発で、とても素早く、一度遊び始めると誰にも止められなくなります。そして全力で遊んでエネルギーが切れると、大好きな先住猫達に寄り添いながら幸せそうにくつろぎ始めるのです。
「チヒロは随分と大きくなったため、長い間休まずに遊ぶことができるようになりました。彼女はオモチャを追いかけたり、自分よりも大きな先住猫達に飛びかかったりするのが大好きです。」
「保護された時は僅か71gしかなかったチヒロですが、ここまで大きく成長することができました。私はこれまでに何度も彼女の強い意志に驚かされてきました。私は彼女の元気そうな姿を見られることに心から幸せを感じています」とアシュリーさんが嬉しそうに話してくれました。
こうして生まれた直後に取り残されてしまったチヒロは、アシュリーさん達のおかげ命を繋ぐことができました。これからもチヒロはたくさんの愛情を受け取りながら、安全な家の中でいつまでも幸せな毎日を送っていくことでしょう。
This post was published on 2024/11/01