昨年の夏、カートさんとメルさん夫婦は、1匹の猫が庭に迷い込んできたことに気づきました。猫は耳に怪我を負っていて、独りぼっちでした。
夫婦はこれまで地元の野良猫達を助けたり、ご飯を食べさせたりしてきましたが、この猫に会ったのは初めてでした。夫婦は庭のパティオにいつも以上にご飯を置いて、再び猫が戻ってくるのを待ちました。
一方の猫は夫婦の家でご飯が確保できたことに喜びを感じていました。猫はより多くの栄養をとるために、定期的に庭を訪れるようになりました。
猫はしばらく夫婦のことを警戒して、距離を置いていました。しかし夫婦が我慢強く接していると、猫は時間の経過と共にリラックスするようになっていって、庭でくつろぐようになりました。
猫の警戒心が徐々に弱まっていることに気づいた夫婦は、食事の時間にゆっくりと近づいていって、さらに信頼を得ようとしました。夫婦は猫が近くにいる時にお気に入りの猫缶のフタを開けたりして、自分達が敵ではないことを伝えようとしました。
そんな時間を過ごしているうちに、『ジャスパー』と名付けられた猫は夫婦に心を開いていきました。そのため夫婦が手でオヤツを差し出すと、最初は少し戸惑っていたジャスパーも、徐々に近くまで来るようになりました。
しかし秋になると、ジャスパーの訪問回数が減っていきました。そんな中、他の猫と戦ったであろう傷を負ったジャスパーが、夫婦の元に現れたのです。気温が下がるにつれてジャスパーの状態が悪化していったため、夫婦は自分達が介入しなければならないと強く感じました。
そこで夫婦はパティオに捕獲器を設置して、ジャスパーを誘導するためにご飯を中に置きました。そしてその日の夜、夫婦はジャスパーが捕獲器の中に入るのを辛抱強く待ちました。
ジャスパーは路上での生活に疲れていて、お腹が空いていて、寒さに震えていました。そのためジャスパーはもう既に室内生活を受け入れる準備ができているかのように、自ら捕獲器に足を踏み入れたのです。
そして捕獲器のドアが閉まると、ジャスパーの野外生活は終わりを告げました。
「クリスマスの直前にジャスパーは保護されました。彼は静かな部屋に運ばれると、暖かくて快適な場所で眠り始めました。彼は疲れ果てていて少し戸惑っていましたが、最終的にリラックスし始めました」と保護施設『シャトンズ・オルフランズ・モントリオール』のセリーヌさんが言いました。
その後、保護施設のスタッフ達が夫婦からジャスパーを引き取ると、獣医さんの元に連れて行きました。ジャスパーはそこで精密検査と必要な治療を受け、猫免疫不全ウイルス感染症を患っていることが分かりました。
ジャスパーはすぐに自分が優しい人達の元にいることに気づいたようで、たくさんの愛情を求めるようになりました。そのため動物病院を訪れた時も、ジャスパーはキャリーから手を伸ばして、みんなの注意を引こうとしていました。
「ジャスパーは養育主さんの家に行くとすぐに元気を取り戻しました。彼はゴロゴロと喉を鳴らし始め、自分を世話してくれる人がいることに大きな喜びを感じていました。」
約5歳のジャスパーは完全に自分の殻を破り、頭を撫でられるのが大好きになりました。
またジャスパーは猫の仲間と一緒にいるのが好きで、ひとりで過ごしたい時はキャットハウスの中でくつろいでいます。さらにジャスパーはフワフワの毛布の上で転がって、いつも養育主さんや家族のことを喉を鳴らしながら迎え入れているそうです。
「ジャスパーはとっても優しい性格の持ち主で、窓辺で丸くなりながら日向ぼっこをするのが好きです。彼はこれまで路上で必死に命をつないできましたが、これからは安全な家の中で甘やかされながら生きていくことでしょう」とセリーヌさんが嬉しそうに話してくれました。
こうして優しい夫婦のおかげで野外生活を終わらせたジャスパーは、安全な家の中で完全に心を開きました。ジャスパーはこれからもたくさんの愛情を感じながら、幸せいっぱいの毎日を送っていくことでしょう。
出典:comrescuemontreal/lovemeow
This post was published on 2024/01/03