ある日、緊急の治療を必要としている生後4週の茶トラの子猫が、オーストラリアのパースにある動物病院『ワーウィック・ベット・ホスピタル』に運ばれてきました。子猫は非常に無気力な状態で、ほとんど呼吸をすることができませんでした。
動物病院のスタッフ達はすぐに酸素療法を行い、子猫の小さな身体に命を吹き込みました。「X線検査の結果、子猫が肺炎にかかっていることが分かりました。彼の両方の肺が病におかされていて、特に右の肺がひどい状態でした」と看護師のケイト・ヘイズさんが言いました。
「子猫はすぐに抗生物質を飲み始めました。彼は薬が好きではありませんでしたが、病気を治すためには必要なことでした。」
『ボビー』と名付けられた子猫は、最初の数日間は身体を回復させるために多くの時間を眠って過ごしました。そのおかげでボビーの瞳は輝きを取り戻し、愛らしい個性が現れ始めました。
ボビーは体調が良くなると、さっそく動物病院のスタッフ達と友達になりたいと強く望むようになりました。ボビーは人間の肩に登るのが好きになり、その場所から辺りを見渡すようになりました。
またボビーは誰かの膝の上が空いていると、喜んで膝の上に登って抱きつきました。さらにボビーはまるで自分が病院の所有者であるかのように、病院の中を好奇心の赴くままに歩き回るようになったのです。
そしてボビーが遊び疲れると、寝心地の良い猫用のベッドで丸くなって、毛布をこねながら眠りに落ちていきました。「愛らしいボビーの姿にスタッフ全員が恋をしました。」
「ボビーの右の肺は傷つき過ぎたため、もう二度と膨らまないことが分かりました。そんな状況にもかかわらず、彼は微笑んでいました。彼は命をつなぐために懸命に戦い、私達全員の心をとりこにしました。」
ボビーは片方の肺が機能しなくなったため、残りの人生は特別なケアが必要になりました。そこでスタッフ達はボビーを病院で迎え入れて、ずっと世話をしていくことに決めたのです。
ボビーはスタッフ達の携帯電話でゲームをしたり、YouTubeで猫の動画を見たりしながら楽しい毎日を過ごしています。
また病院に頻繁に出入りしているケイトさんの愛犬の『ムーン』とも仲良くなりました。ムーンはボビーの指導者としての役割を果たし、ボビーに受付業務やその他の業務を教えました。
ボビーは受付で訪問者に挨拶をして、スタッフ達の仕事をサポートし、友達を必要としている猫の患者さんを見守っています。
「ボビーはいつも病院の患者さん達の様子を確認しています。ある日、去勢手術を受けるピーナッツとセサミが入院した時も、彼はふたりの状態を注意深く観察していました。」
一方、ムーンは一歩下がってボビーのことを監督しながら、ムーンに受付業務を任せています。
「ムーンはボビーが病院に来た時から、ボビーの保護者としての役割を果たしてきました。ボビーはムーンの愛情を受け取りながら随分と大きく成長しました。ボビーはムーンと遊ぶことが大好きで、時々ムーンをもみくちゃにすることがありますが、心の広いムーンはいつもボビーのことを許してあげています」とケイトさんが言いました。
ボビーは毎日スタッフ達と楽しい時間を過ごしていて、スタッフ全員に多くの喜びをもたらしています。ボビーはこれからも病院の所有者のように振舞いながら、病院を訪れる人達や動物達のことをいつまでも見守り続けていくことでしょう。
出典:warwickvetperth/lovemeow
This post was published on 2023/02/11