今から約2年前、人間のことを非常に警戒していた妊娠中の猫が、オーストラリアのブリスベンにある保護施設『ベスト・フレンズ・フィーラインズ』に運ばれてきました。
『エスティー』と名づけられた猫は、人間のことを信用しておらず、人間が近づいてくるのを拒否しました。「私達は一度エスティーの頭を触ることに成功しました。その時の彼女は喉を鳴らしたり、ベッドをこねたりしたため、撫でられることが好きなことは明らかでした」と保護施設の養育ボランティアさんが言いました。
「私達はエスティーが出産前に少しでもリラックスできるように、彼女の部屋を出来るだけ静かに保ちました。」
その後、エスティーは元気な4匹の子猫を出産しました。養育主さんはエスティーが出産している間、問題が起きた時にすぐに対処できるように、エスティーの様子をずっと見守っていました。
そして無事に出産が終わると、養育主さんはエスティーと子猫達を子育てに最適な部屋へと移動させました。
「エスティーは子猫達のことを常に守っていました。そのため私が手を近づけようとすると、『シャー!』と強く威嚇してきました。」
「エスティーは数日かけて徐々にリラックスしていき、食事の時間になると、お皿のあるところまでご飯を食べに来るようになりました。そして彼女が他のことに集中している間に、私は子猫達を触ることができるようになりました。その後、彼女は私が子猫達を傷つけるつもりがないことに気づいたようで、徐々に私のことを信頼してくれるようになりました。」
時間が経つに連れて、エスティーは家の中でより快適に過ごすようになっていき、警戒せずに子育てをするようになりました。またエスティーは養育主さんが子猫達の世話をしてくれることに満足するようになっていきました。
「エスティーは数週間で大きな変化を遂げました。最初の頃の彼女は身体を触らせてくれませんでしたが、今は全く違っていて、私が部屋に入るとすぐに挨拶しにやって来て、身体を撫でて欲しそうに擦り寄ってきます。」
「日に日にエスティーは人間のことを信頼するようになり、長く抱きしめることを許してくれるようになりました。」
エスティーは自分が出産した4匹の子猫達を育てただけでなく、迷子の子猫も受け入れて、まるで我が子のように育て始めました。「エスティーはとても愛情深いお母さんで、徐々に家の中でも自信を持って生活するようになっていきました。」
その後、子猫達はエスティーのおかげで十分に成長し、生涯の家へと旅立っていきました。そして全ての子猫が里子に出ると、エスティーは別の養育ボランティアさんの家に移って、そこで社会化のための勉強を続けました。
「エスティーはまだ初めて会った人にはとても臆病でした。そのため最初の数日間は物陰に隠れていて、姿を現すのはご飯とトイレの時だけでした」と養育主のクリスティーナさんが言いました。
クリスティーナさんはエスティーの警戒心を和らげるために、エスティーを膝の上に乗せて、たくさんの愛情を注ぎ続けました。「エスティーと一緒の時間を過ごしているうちに、彼女は両手で柔らかいものをこね始め、喉を鳴らすようになりました。私はそれから数週間に渡って、彼女との絆をゆっくりと深めていきました。彼女は毎日少しずつ変化していきました。」
エスティーは歯の病気を抱えていて、2回の手術で悪くなっていた歯を全て取り除きました。するとエスティーはとても気分が良くなったようで、さらに自分の殻の中から出てきました。そしてエスティーは自ら膝の上に乗ってくるようになり、いつもそばにクリスティーナさんがいてくれることに幸せを感じるようになっていったのです。
「エスティーの回復中に私が彼女の世話をしていると、彼女はたくさんの愛情を返してくれました。私はそんな彼女の姿をずっと見ているうちに、いつの間にか彼女のことを手放せなくなっていました。」
そして、エスティーがクリスティーナさんの家に来てから数ヶ月後、エスティーは正式にクリスティーナさんの家族の一員になったのです。
「エスティーは非常に愛情深く、ハグ好きで、私と一緒にいるのが大好きです。彼女は家の中を自信たっぷりに歩くようになり、完全に家の女王になりました」とクリスティーナさんが嬉しそうに話してくれました。
エスティーは現在、フワフワのゴージャスな猫へと変わり、いつも家の中で楽しそうに過ごしています。さらにエスティーはクリスティーナさんが連れて来る迷子の子猫達のお母さん代わりになって、たくさんの愛情を子猫達に注ぎ続けているそうです。
こうして優しい人達のたくさんの愛情で、とっても臆病だったエスティーは180度変わりました。エスティーは愛情いっぱいのハグ好きの猫へと生まれ変わり、毎日の生活を心から楽しんでいるのです。
出典:estee_catstar/lovemeow
This post was published on 2022/07/20