ある日、オーストラリアのブリスベンにある保護施設『ベスト・フレンズ・フィーラインズ』に、養育主さんの世話を必要としている妊娠中の猫『カシオペア』が運ばれてきました。カシオペアのお腹は日に日に大きくなっていき、保護から数週間後の金曜日の朝についに出産が始まりました。
「カシオペアが2番目の子猫を産んだ直後、生後3日にもかかわらず体重が僅か48gしかない子猫についての連絡が入りました。子猫はひとりで野外に取り残されていて、母親の愛情を必要としていました」と保護施設のスタッフが言いました。
「連絡をもらった時、保護された子猫が命をつなぐ可能性が低いと言われましたが、私達は幼い命を諦めたくありませんでした。私達はもしカシオペアが子猫のことを受け入れてくれたら、子猫の命が助かるかもしれないと感じました。」
スタッフ達はすぐに施設を出ると、往復1時間半かけて子猫を施設へと連れて帰ってきました。子猫が到着するまでにカシオペアは、3番目の子猫を出産していました。
スタッフ達は連れてきた子猫をカシオペアの隣にそっと置き、カシオペアが子猫を受け入れてくれることを強く望みました。「カシオペアはすぐに子猫のところに向かい、毛づくろいを始めました。子猫は小さな身体で必死に生きようとしていましたが、多くの助けを必要としていました。」
「カシオペアはその日、とても長い一日を過ごし、午後10時頃に6番目の子猫を出産しました。」
カシオペアは全部で6匹の子猫を出産し、『シリウス』と名づけられた保護子猫を養子として迎え入れました。シリウスはカシオペアのミルクをたくさん飲んで、少しずつ強くなっていきました。「私達は2〜3時間ごとに猫の親子の状態をチェックして、シリウスの体重が減っていないことを確認しました。シリウスはとても小さな身体をしていましたが、その強い意志で私達のことを驚かせ続けました。」
シリウスはその後もしばらく不安定な状態が続きましたが、何度も危険な状態を乗り越えて成長を続けました。
「シリウスは9日齢で、ついに100gを超えました。」
シリウスは6匹の兄弟に置いていかれないように、たくさんのミルクを飲み続けました。そして保護から2週間が過ぎると、シリウスは歩き方を学び始め、寝床の中を動き回るようになりました。
兄弟がより活発になり行動範囲が広がると、兄弟のエネルギーがシリウスを刺激しました。「シリウスは自然と兄弟の後を追うようになり、人間にお腹を撫でられたり抱っこされたりするのが大好きになりました。」
「3週間も経たずに体重を4倍にしたシリウスは、『フィーバーコート』によって毛の色が灰色に変わり始めました。フィーバーコートの子猫は通常、妊娠中の母親が発熱やストレスがあった時に灰色の毛で生まれますが、シリウスのように少し時間が経ってから毛の色が変わることもあります。」
シリウスはこれからしばらく身体の一部が灰色になりますが、最終的には黒い毛に戻るそうです。
シリウスは成長が軌道に乗るまで養育主さんのケアをたくさん受けてきたため、すっかり人間のことが大好きになりました。「シリウスは早い段階から人間好きの子猫になるだろうと言われていました。彼は人間に寄り添うことが大好きで、膝の上に登る方法も一番最初に考え出しました。」
その後、7週齢を迎えたシリウスは、いつもたくさんの愛情を感じながら飛躍的に成長を続けています。シリウスは毎日カシオペアお母さんと一緒の時間を楽しんでいて、お母さんの気を引くために愛らしいアピールをしているそうです。
シリウスはまだ子猫達の中で一番小さな身体をしていますが、身体の小ささは大きな個性で完全に補っています。「私達が養育部屋に入ると、シリウスはいつもすぐに私達に照準を合わせて、挨拶するために駆け寄ってきます。また私達が床に座ると一番最初に膝の上に乗ってきて、そのまま横になって甘え始めます。」
「そして私達がシリウスのお腹を撫でると、彼は嬉しそうに転がって、喉をゴロゴロと鳴らし始め、さらに注目を集めるために可愛い声で話しかけてきます。」
「私達はあんなに弱々しかったシリウスが、こんなに健康的で大きくなったことにとても驚いています。彼はどんな時でも決して諦めることなく、前に進み続けてきました。」
シリウスの身体は小さいかもしれませんが、いつも元気いっぱいで楽しそうに遊び回っています。またとってもヤンチャなシリウスは、イタズラ好きの恐れ知らずで、この家に住む大きな犬にも果敢に挑んでいるそうです。
こうして独りぼっちで保護されたシリウスは、カシオペアや優しい人達のおかげでここまで成長することができました。きっとシリウスの前には素敵な里親さんが現れて、いつまでも甘やかされながら、幸せいっぱいの毎日を送っていくことでしょう。
出典:BestFriendsFelines/lovemeow
This post was published on 2022/04/04