今から2年前、ルシアあばあちゃんは50年以上一緒に暮らした夫を亡くしました。ルシアおばあちゃんはその日から深い悲しみに暮れ、塞ぎ込むことが多くなったのです。
家族はルシアおばあちゃんにペットを飼うことを提案しました。そして、ペットがおばあちゃんの心を救ってくれることを強く望みました。
「私のおばあちゃんは猫を飼うことを拒否していました。おばあちゃんはとても猫が嫌いでした」とルシアおばあちゃんの孫で、獣医のテオ・ステファネスクさんは言いました。
テオさんは2016年の夏、道路を横断している最中に、路面電車の線路でシッポのない子猫を見つけました。テオさんが子猫を驚かせないように近づくと、逆に子猫の方からテオさんの方に走り寄って来て、膝に飛びついてきたのです。テオさんには子猫を置いてその場を去ることはできませんでした。
全身が雨で濡れた子猫は、とてもやせ細っていて体調を崩していました。すぐに子猫を自分の病院に連れて行ったテオさんは、献身的な看病で子猫を健康な状態に戻したのです。
テオさんは子猫に『ミッシー』と名づけ、里親さんを探し始めました。
そんな中、ルシアおばあちゃんが誕生日を迎えたのです。「私はチャンスかもしれないと思い、ミッシーをおばあちゃんのところへ連れて行きました。すると驚いたことに、おばあちゃんがミッシーに一目惚れしたのです。」
家に着いたミッシーがキャリーケースから出ると、すぐにルリアおばあちゃんの元に向かって歩き始め、彼女の隣のソファーに飛び乗りました。そして、ずっとこの家で暮らしていたかのように、丸くなって昼寝を始めたのです。
その姿を見たルシアおばあちゃんは、新しい家が見つかるまでの間、ミッシーの面倒を見てあげることにしました。
しかし、ミッシーは違う考えを持っていました。
「ミッシーはすぐに新しい環境に適応しました。そして、ミッシーはおばあちゃんの身体の上が自分のベッドだと思ったようで、いつもおばあちゃんにくっついて昼寝を始めたのです。ミッシーはおばあちゃんの心を完全に盗みました。」
「数週間後、私はおばあちゃんにミッシーの新しい里親さんをどうするかを話しました。するとおばあちゃんは、私の気が狂ったのではないかという顔で見てきたのです。そして、『テオは私とミッシーを離ればなれにする気なの!?』と言ってきました。どうやらおばあちゃんの中では、既にミッシーを家族に迎え入れていたようです♪」
ルリアおばあちゃんとミッシーの結びつきは、今まで家族が見て来た中で最も美しいものでした。
「私にはふたりの絆の深さを表す言葉が見つかりません。おばあちゃんが悲しんだり、傷ついたりするとミッシーはすぐに気づきます。そして、ミッシーはおばあちゃんの膝の上に登り、おばあちゃんの手に自分の手を重ねるのです。するとおばあちゃんの気分は、みるみるうちに落ち着いていきます。」
「ふたりの関係で最も重要なことは、ふたりがちゃんと会話をしていることです。おばあちゃんは何十年もおじいちゃんと一緒に暮らしてきたため、近くに話し相手がいないことに寂しさを感じていました。ミッシーはおばあちゃんが話し掛けてくると、まるで言葉を理解しているかのように、いつも穏やかに返事をしてくるのです。」
「ミッシーは神様からの贈り物です。私がおばあちゃんに会いに行く度に、どれだけミッシーが最高の猫かを語り続けます」とテオさんは嬉しそうに話してくれました。
「私はふたりがお互いを強く望み、運命の出会いを果たしたのだと確信しています。」
こうして夫を亡くし、悲しみに暮れていたルシアあばあちゃんは、ミッシーとの出会いで元気を取り戻すことができました。強く結ばれたふたりは、これからもお互いに愛情を注ぎ合いながら、幸せな毎日を送って行くことでしょう♪
出典:Theo Stefanescu
This post was published on 2017/04/29