何年もの間、猫の『ビリー』は街を彷徨い歩き、食べ物を探し、ひとりで必死に生きてきました。ビリーは幾度となく厳しい冬の寒さに耐え、縄張り争いを生き延び、身体中にたくさんの傷跡を作ってきました。
そんなビリーはある日、地元のボランティア達が世話をしている猫のコロニーに姿を現しました。そしてボランティア達はすぐに、疲れ切ったビリーの姿に気づきました。
どんなにタフな野良猫でも病気に倒れることがあります。ビリーに上気道感染症の症状が出ていたため、ボランティア達はすぐに行動を起こしました。彼らはビリーを救出して、切実に必要としている医療を受けさせる計画を立てました。
彼らは捕獲器を使ってビリーを保護すると、地元の保護団体『コミュニティ・キャット・クラブ』に連れて行きました。
ビリーはそこで自分が安全だと悟ったようで、徐々に警戒心を解いていって、次第に目が優しくなっていきました。そして素直に獣医チームの治療を受け入れて、嬉しそうに喉を鳴らすようになりました。
「ビリーが人間に対して社交的だということがすぐに分かりました」と保護団体の創設者のサラ・シャープさんが言いました。
推定年齢が7歳のビリーはマイクロチップを持っておらず、誰もビリーを自分の猫だと言う人はいませんでした。ビリーはFIV(猫免疫不全ウイルス感染症)の検査で陽性反応が出ましたが、長い野外生活を送ってきたことを考えると、それは驚くべきことではありませんでした。しかし、ビリーのようなFIVの猫は室内生活と定期的な獣医さんのケアがあれば、いつまでも健康で幸せな毎日を送ることができます。
これまでに多くの苦難を経験してきたビリーですが、その精神が揺らぐことはありませんでした。そして屋内で暮らし始めたビリーは、本来の個性を輝かせ始めました。
「養育主さんの家にすぐに馴染んだビリーは、自分が素晴らしい環境にいることを理解しているようでした。」
ビリーはすぐに自分の殻を破って、まるでずっとそこで暮らしていたかのように家の中を歩き回るようになりました。ビリーは好奇心の赴くままに隅々まで探索して、荒々しい野外生活で隠されていた穏やかで優しい本性が日に日に表に出てきました。
ビリーは毎日嬉しそうに養育主さんに挨拶をして、いっぱい撫でてもらうためにその大きなホッペを擦りつけました。ビリーは養育主さんと一緒に過ごす時間が大好きで、養育主さんの行動の全てに興味を持っていて、いつも楽しそうに後を追いかけています。そして柔らかい毛布を見つけると、夢中でフミフミし始めて、満足そうに眠りに落ちていくのです。
ビリーは辛い過去があるにもかかわらず、出会う全ての人や猫に対して優しく接し、たくさんの愛情を与え続けているそうです。
こうして何年も路上を彷徨い歩いてきたビリーは、ついに本来の姿を取り戻しました。社交的で優しいビリーは無事に元気を取り戻し、去勢手術も受けました。きっとビリーの前には素敵な家族が現れて、いつまでも安全な家の中で、たくさんの愛情に囲まれながら暮らしていくことでしょう。
This post was published on 2025/12/14