ある日、家の中で過ごしていた住人家族が、微かに聞こえてくる動物の小さな声に気づきました。気になった家族が声のする方に向かうと、玄関先に小さな毛の塊を見つけました。
驚いたことにそれは、手の平ほどの大きさの独りぼっちの子猫でした。家族は母猫が近くにいるかもしれないと思い、しばらく辺りを探し回っていると、ついに母猫の姿を見つけました。家族は母猫が子猫を迎えに来ることを願いましたが、子猫をその場に残して何処かに行ってしまいました。
子猫が必死に叫んでいるにもかかわらず、母猫は子猫に近づこうとはしませんでした。
その後、母猫が子猫を迎えに来ることが無かったため、家族は子猫を優しく抱え上げて家の中へと運び込みました。子猫の目は病気で固く閉じられていて、切実に助けを必要としていることがすぐに分かりました。
「きっと母猫は子猫が病気だったため置いて行ってしまったのでしょう。家族は一晩中子猫の世話を続け、車で1時間かけて私達の施設に子猫を連れてきました」と保護施設『シャトンズ・オルフランズ・モントリオール』のセリーヌさんが言いました。
生後僅か3週間だった子猫は『レグリス』と名付けられました。レグリスの体重は227gしかなく、同い年の子猫達よりも随分と小さな体をしていました。「レグリスは骨が感じられるほど痩せていて、しばらく母猫にミルクを飲ませてもらっていなかったことは明らかでした。」
弱々しい体にもかかわらず、レグリスは強い意志を持っていました。レグリスは自分の人生を諦めておらず、哺乳瓶でミルクをもらうまで鳴き続けていました。
レグリスはお腹をいっぱいに満たすと、安心して眠りに落ちていきました。
セリーヌさんはレグリスに一日中ミルクを与え続け、全ての要求に応えられるようにレグリスを連れて移動しました。そんなセリーヌさんのおかげでレグリスは体重を増やし始め、足の力が強くなって、満足そうに喉をゴロゴロと鳴らすようになったのです。
その後、レグリスがお風呂に入れるくらいに元気になると、セリーヌさんはレグリスについたノミの汚れなどを全て取り除きました。そして、全身が綺麗になったレグリスをタオルで包み込むと、レグリスはすぐに気持ち良さそうに眠り始めました。
レグリスは日に日にセリーヌさんとの絆を深めていって、キャリーで一緒に様々な場所に出かけました。そんなレグリスのお昼寝の時間には、いつもそばにぬいぐるみの友達がいました。
セリーヌさんの家には元々老猫の『マーシャ』が住んでいて、マーシャはすぐにレグリスを温かく迎え入れました。これまでにたくさんの保護子猫達を育ててきたマーシャは、レグリスが何を必要としているのかを全て理解しているようでした。マーシャはレグリスを優しく抱きしめて、母親のような温かさと安らぎを与えました。
「レグリスは哺乳瓶に上手く対応して、ここに来てから毎日10g以上体重を増やしています。」
レグリスは食欲が旺盛で、まるで失われた時間を取り戻すかのように、毎回たくさんのご飯を食べています。そして、食後は嬉しそうに仰向けになって、セリーヌさんの手を抱きしめながら、お腹を撫でて欲しそうにアピールしてくるのです。
生後4週間を迎えたレグリスは好奇心が旺盛で、柔らかいものが大好きな元気いっぱいの子猫に成長しました。レグリスはいつもフカフカのベッドに沈み込んで、幸せそうに眠りに落ちていくそうです。
こうしてレグリスの人生は、保護してくれた優しい家族のおかげで永遠に変わりました。そして、いつも全ての要求に応えてくれるセリーヌさんや優しく導いてくれるマーシャのおかげで、かつて置き去りにされたレグリスは今、安全な家の中ですくすくと成長を続けているのです。
This post was published on 2025/09/03