ある日、壊滅的な山火事に飲み込まれた町で、子猫の兄弟が見つかりました。茶トラの兄はずっと弟の身体に覆い被さって、決して弟のそばから離れることはありませんでした。
近隣の町で動物の保護活動をしていたシェイラ・サリバンさんは、被災地にある動物保護団体『コンコー911』に加わりました。
被災した町に向かったシェイラさんと他のボランティアさん達は、そこで出会った騎馬警官と一緒に被災地域に入りました。「私達は警官の後に続いてトレーラーを走らせました」とシェイラさんが言いました。
そして被災地域に到着した時、あまりにも荒廃した町の姿にショックを受けました。
その後、シェイラさん達がトレーラーにつないだ馬の様子を見ていると、近くに母猫と2匹の子猫がいることに気づきました。子猫達はシェイラさん達の姿を見るとすぐに、外に放置されていた薪ストーブの中に身を隠しました。
シェイラさん達は子猫達の様子を見て、「母猫がコヨーテから子猫達を守るために、ストーブを子猫達の避難場所にしていたのだろう」と思いました。そして結果的にそのストーブが山火事から子猫達の身を守り、被災した地域で子猫達が生き延びることができたのです。
シェイラさん達が猫の親子の方へと近づいて行くと、人間慣れしていなかった母猫がすぐにその場から逃げ出しました。しかし、シェイラさん達は少しでも早く子猫達を治療しなければならないと感じたため、そのまま子猫達の保護を続けました。
シェイラさんの仲間の一人がゴム製の手袋をつけてストーブの中に手を入れて、子猫達を次々と救い出しました。子猫達はどちらも身体が震えていて、人間のことをとても怖がっていました。
シェイラさんと息子は保護した子猫達を近くの町の保護施設『フィールド・ヘーブン』へと連れて行きました。施設で子猫達を受け取ったスタッフと医療チームは、すぐに子猫達の治療を始めました。
「獣医チームは子猫達を暖かいタオルで包み、すぐに点滴を始めました。そして私達に『もし茶トラの兄がいなければ、きっと弟は命を落としていただろう』と伝えてきました。」
スタッフ達は茶トラの兄に『フェニックス』、黒猫の弟に『アッシュ』と名付けました。アッシュの身体はフェニックスよりも小さく、アッシュにとってフェニックスは保護者のような存在でした。
「フェニックスは毛やヒゲが焼け焦げていて、足に火傷を負っていました。一方のアッシュはずっとフェニックスに守られていたため、火傷を負っていませんでした。フェニックスは施設に入った後もずっと、アッシュのことを抱きしめながら守り続けていました」と保護施設のスタッフが言いました。
翌日、フェニックスはアッシュの身が安全だと分かると、全身の力を抜いて、スタッフ達に火傷の治療をさせてくれるようになったそうです。
一方、再び被災地に戻ったシェイラさん達は子猫達の母親を保護するために、母親にご飯を食べさせながら信頼関係を築いているそうです。
先に保護されたフェニックスとアッシュは、優しい人達のおかげで快方へと向かい始めました。またフェニックスは保護されてからもアッシュに寄り添って、大切な弟のことを守り続けているそうです。
「私達の施設にはこれまでに約50匹の猫、3羽の鳥、1匹のカメレオンとイグアナが運ばれてきました。彼らはみんな医療チームのケアを受けながら、安全でストレスのない環境で毎日を過ごしています」とスタッフが話してくれました。
また救助された猫達の何匹かは、無事に飼い主さんとの再会を果たすことができたそうです。
その後、すくすくと成長を続けたフェニックスとアッシュは、同じ里親さんの元へと旅立って行きました。大変な時期をふたりで乗り越えた子猫達は、これからもずっと離れることなくお互いに愛情を注ぎ合いながら、安全な家の中で幸せいっぱいの毎日を送っていくことでしょう。
出典:FieldHaven/lovemeow
This post was published on 2024/10/03