猫も『モージー』はこれまでに厳しい冬を何度も乗り越え、凍傷で耳の先を失いました。モージーは荒れた身体で近所の人達から食べ物をもらって、何とか命をつないでいました。
長い野外生活がモージーを弱らせ、モージーの状態は日に日に悪化していきました。「モージーは衰弱し、全身の毛が濡れてボロボロになっていました。彼は食べることも困難で、動きも遅くなっていました」と保護施設『シャトンズ・オルフランズ・モントリオール』のセリーヌさんが言いました。
「モージーはもう悪天候と寒さから身を守ることができなくなっていました。」
モージーは衰弱した身体で、縄張りを巡って他の猫達と必死に戦っていました。そんなモージーの窮状を知った保護活動をしているナディアさんが行動を起こしました。
「ナディアさんは手遅れになる前にモージーを救おうと決心しました。」ナディアさんは食べ物を入れた捕獲器を設置して、モージーが入るのを待ちました。すると非常にお腹が空いていたモージーが、すぐに捕獲器の中へと入ってきました。
ナディアさんはモージーを自宅に連れて帰って、セリーヌさんの保護施設に助けを求めました。モージーは口の中がひどく感染していて、その他にも多くの問題があり、非常に体調が悪い状態でした。そんなモージーのことを知ったセリーヌさん達は、すぐに協力することを申し出ました。
「私達はすぐにモージーを引き取りました。彼は少なくとも6歳以上で、とても疲れ果てていて、顔には戦いの傷跡がありました。彼の毛はひどく荒れていて、全身に泥や汚れがこびりついていました。何年もの野外生活が彼に大きなダメージを与えていました。」
モージーは感染した口を治療して、多くの歯を抜き、もつれた毛を取り除きました。「モージーの歯はほとんど残っていませんが、もう彼が痛みを感じることはありません。」
治療のおかげでモージーは食欲が旺盛になって、威嚇できるほどの力を取り戻しました。
モージーは新しい環境や人間のことを警戒していたため、いつも物陰に身を隠しながら人間の様子を観察していました。養育主さんはそんなモージーと出来るだけ一緒の時間を過ごしながら、ここが安全な場所であることを伝えました。そのおかげでモージーは少しずつ自分の殻を破っていって、人間のことを信頼するようになっていきました。
モージーは養育主さんの声に随分と慣れましたが、養育主さんにオヤツを差し出されると非常に警戒しました。しかし、それからしばらくするとモージーはオヤツをもらうために、勇気を出して物陰から姿を現しました。
そして、ためらいながらも一歩一歩前進して、何とかオヤツのところまで辿り着いたのです。それから数週間で随分と勇敢になったモージーは、警戒心も徐々に緩んでいきました。
モージーは養育主さんの愛情を受け入れ始め、喉も鳴らすようになりました。「モージーが慣れるまでには数ヶ月がかかりました。彼はようやく家の中が安全なことを理解して、リラックスできるようになりました。」
モージーは自分の部屋を探索するようになって、様々なオモチャやキャットツリーを発見しました。さらにモージーは窓辺で暖かい日差しを浴びたり、外の小さな生き物を観察したりするようになりました。
モージーはまだ突然の素早い動きや物音に驚くことがありますが、随分と自信を持って生活できるようになり、抱きしめられるとゴロゴロと喉を鳴らすようになりました。
モージーは新しい人に慣れるまでには時間がかかりますが、社交的な猫とはすぐに仲良くなることができます。「モージーは優しくて穏やかで、室内生活に幸せを感じています」とセリーヌさんが話してくれました。
こうして何年も苦労してきたモージーは、優しい人達に保護されて新しい人生を歩み始めることができました。今のモージーは人間が優しいことを知っていて、いつもたくさんの愛情を受け取っているのです。
出典:Rescuechatonsmontreal/lovemeow
This post was published on 2024/02/29