ある日、カナダのモントリオールの公園で働いているブルースさんが、荒れた目で助けを求める小さな子猫の姿を発見しました。子猫は落ち葉に身を寄せていて、暖かさと安らぎを求めていました。
子猫が発見された地域は急激に気温が下がってきていて、肌を突き刺すような冷たい空気が漂っていました。子猫のことが心配になったブルースさんは、母親や兄弟を探し回りましたが、結局見つけることはできませんでした。
そのためブルースさんは子猫を救い上げると腕の中で温めて、助けを求めて近くの動物病院へと急ぎました。
『リチャード』と名付けられた子猫は推定年齢が生後4週間で、上気道感染症を患っていて、白癬(はくせん。カビによる感染症)で後ろ足の毛が無くなっているところがいくつもありました。
リチャードはすぐに治療を受けて、必要な栄養をとりました。リチャードはとても衰弱していて目を開けるのもやっとの状態でしたが、力を振り絞って注意を求めて鳴き続けました。
リチャードは病気の治療を継続し、常に体温を温かく保ち、十分な栄養を得るために養育主さんのケアが必要でした。そこで動物病院のスタッフは地元の保護施設『シャトン・オルフラン・モントリオール』に連絡をしました。
連絡を受けた保護施設のセリーヌさんは、ためらうことなくリチャードを受け入れることに決めました。そして、セリーヌさんはリチャードを引き取るとすぐに必要なケアを始めました。
「私達はリチャードに感染症を治すための力をつけさせるために、哺乳瓶で栄養を与え始めました。一方、彼の白癬を完治させるためには、約5週間ほど治療を続ける必要がありました」とセリーヌさんが言いました。
リチャードは最初、哺乳瓶の使い方にとても苦労していましたが、一生懸命にチャレンジを続け、無事にミルクを飲むことができるようになりました。「リチャードは生きるために必死に哺乳瓶にしがみついていました。彼は強い意志を持った勇敢な子猫です。」
その後、リチャードを預かった養育主さんは、リチャードの目についた汚れを慎重に拭き取って、温かいお風呂でリチャードの全身を綺麗にしました。
入浴後、柔らかくて心地良いタオルに包まれたリチャードは、とても満足したようで嬉しそうに喉を鳴らし始めました。
リチャードは素直に養育主さんの言うことを聞きながら治療を続け、数日後には目の腫れがおさまって、呼吸が著しく改善しました。
養育主さんの丁寧なケアによってリチャードは目に輝きを取り戻し、好奇心旺盛な眼差しで身の回りを観察できるようになりました。また荒れていた全身の毛は柔らかくなり、ツヤを取り戻すことができました。
リチャードは体力が戻るにつれて遊び心を取り戻し、愛らしい個性が現れ始めました。
「体調が非常に悪かったリチャードが、あの時発見されたのは本当に幸運なことでした。あの寒さの中では、もう一晩命をつなぐことはできなかったことでしょう」とセリーヌさんが話してくれました。
最初は弱々しかったリチャードですが、公園で発見してくれた男性、病気の治療をしてくれた動物病院のスタッフ達、そして献身的なケアを続けてくれた養育主さんのおかげで、新しい人生を歩み始めることができました。
リチャードの食欲は日に日に旺盛になってきていて、いつも美味しそうにご飯を食べています。保護された時はほとんど動くことのできなかったリチャードですが、現在は好奇心の赴くままに部屋中を活発に動き回っているのです。
今後、リチャードが完全に回復したら、他の保護子猫達と対面することになります。きっとリチャードはすぐにたくさんの友達を作って、みんなと一緒に猫のスキルを磨きながら、元気いっぱいに成長していくことでしょう。
出典:comrescuemontreal/lovemeow
This post was published on 2023/11/22