ある日、ニュージャージー州のニューアークにある工業地帯で、妊娠中の猫の『デランシー』が見つかりました。長年路上を彷徨い歩き、過酷な生活を送っていたデランシーは、ゴミ捨て場で食べ物を探している時に発見されたそうです。
地元で保護活動を行なっているジェンナさんは、デランシーと別の妊娠中の猫についての連絡を受けました。「私はカーラ・アゴスティネさんから、TNR活動(野良猫の不妊去勢手術を行い、元の場所に戻す活動)をしている人を知らないかと尋ねられました。私は彼女の話を聞いて、一緒に活動しているチームメンバーと一緒に現場へと向かいました」とジェンナさんが言いました。
ジェンナさんとチームメンバーはすぐに捕獲器を設置して、猫達の保護活動を始めました。そして、その場所にいたデランシー以外の全ての猫を捕まえて、去勢や避妊手術を行い、子猫達を養育ボランティアさんの家へと連れて行きました。
しかし、非常に用心深かったデランシーは2週間の間、捕獲器を避け続け、どこかへと姿を消してしまいました。その後、ジェンナさん達が再びデランシーを見つけた時、妊娠中だったデランシーのお腹は既に小さくなっていました。再会したデランシーは人間への警戒感が薄れていて、自らジェンナさん達の近くへと歩み寄ってきたそうです。
デランシーが出産したことを知ったジェンナさん達は、すぐに子猫達を探し始めました。ジェンナさん達は近くの自動車整備工場に足を運び、子猫達の姿を見なかったかを従業員に尋ねました。
「私達が子猫達のことを聞くと、従業員の1人が工場の中に入るように合図してきました。そして私達が工場の中にある小さなオフィスに入ると、そこにはデランシーと3日齢ほどの子猫達の姿がありました。」
デランシーは工場内にあった箱が安全だと思ったようで、子猫達をその中で育てていました。デランシーは大切な子猫達を危険から守り、子猫達を温かく保つために、子猫達にピッタリと寄り添い続けていたそうです。
「出産を終えたばかりのデランシーは、親しくなった従業員の男性に保護されていました。男性が生まれたばかりの子猫達を工場内に運ぶと、彼女は子猫達を安全そうな箱の中へと運んだそうです。」
ジェンナさん達は男性から親子全員を引き取ると、生涯の家を見つけるために、地元の保護施設へと連れて行きました。
その後、養育ボランティアのローレンさんが親子を自宅に連れて帰り、デランシーが安心して子育てできるように静かな部屋を用意しました。
室内生活を始めたデランシーは、すぐに避難場所や食べ物を探す必要が無くなったことに気づき、次第に心を開いていきました。
「デランシーは子育ての期間中ずっと、子猫達にとても気を配っていて、いつも腕の中に子猫達を抱えていました。」
その後、デランシーはどんどん成長していく子猫達に猫としての生き方を教え、愛情いっぱいに毛づくろいを続けました。
そんな愛情深いデランシーを動物病院へと連れて行くと、FIV(猫免疫不全ウイルス感染症)を患っていることが分かりました。幸いなことに子猫達はみんな、その影響を受けていなかったそうです。
「FIVは深く噛みついた時の傷を通してのみ伝染し、毛づくろいなどから感染することはほとんどありません。FIVに感染した猫も他の猫と一緒に暮らすことができ、猫同士が平和に暮らしている限り感染の危険はありません。」
その後、子猫達が里子に出られるくらいまでに成長すると、デランシーは子育てを終えました。子猫達はすぐに里親さんを見つけて、新しい生活を送り始めたそうです。
そしてデランシーも生涯の家に向かうために、新しい出会いを待ち始めました。「デランシーは愛情深い猫で、人間のことをとても信頼しています。きっと彼女を家に迎える家族は、一瞬で彼女に心を溶かされることでしょう」とジェンナさんが話してくれました。
こうして今までずっと野良として生きてきたデランシーは、優しい人達のおかげで路上での生活に別れを告げました。デランシーは現在、美味しいご飯と安全な家、そしてたくさんの愛情を感じながら、幸せな毎日を送っているのです(*´ω`*)
出典:Jenna/lovemeow
This post was published on 2023/07/16