ある日、非常に身体の状態が悪い子猫が保護されて、動物病院に運ばれてきました。子猫は全身がひどく汚れていて、口の周りの組織が失われるほどの重度の感染症に苦しんでいました。

トルコで保護活動を行なっているアーセンさんは子猫の窮状を知ると、すぐに子猫の元へと向かいました。子猫は強い匂いを発していて、全身がボロボロの状態で、重い病気を患っていましたが、アーセンさんの姿を見ると手を伸ばして愛情を求めてきました。

「動物病院の獣医さん達は子猫があまり長くは持たないかもしれないと言っていましたが、私は子猫の中に生きたいという強い意志を感じました」とアーセンさんが言いました。

アーセンさんは子猫に戦うチャンスを与えることなく、その場を去ることができませんでした。そのためアーセンさんは子猫を自宅に連れて帰り、子猫が治療に専念できる特別なスペースを用意したのです。

アーセンさんに『ゾビ』と名付けられた子猫は、獣医さんの元で厳しい診断を受けましたが、アーセンさんは決して諦めず、出来る限りのことをする決心をしていました。アーセンさんはさっそくゾビの口を綺麗にして、投薬を始めました。

重度の感染症によってゾビの口は曲がっていました。ゾビが回復するまでには非常に長い道のりが待っていましたが、ゾビは居心地の良い空間と愛情深いアーセンさんがいることにとても満足していました。

アーセンさんはゾビの口を治すために、傷に薬を塗り続けました。またアーセンさんは貧血の改善のためのケアを行い、ゾビの全ての要求に応えました。

そんなアーセンさんのおかげで、ゾビは痛みを感じることなくご飯や水を口にできるようになりました。ゾビはいつも自分の要求を叶えてくれるアーセンさんに感謝していて、常に優しく接してくれることに大きな喜びを感じていました。

それから数週間でゾビは確実に体重を増やし、口の怪我が随分と回復しました。さらにゾビが下の歯を2本抜くと、不快感を感じることなく苦労せずにご飯が食べられるようになりました。

ゾビが順調に回復している姿を見て、アーセンさんは安堵のため息をつきました。そしてアーセンさんはゾビを正式に家族の一員として迎えたのです。

ゾビは2ヶ月間の治療の末、アーセンさんの家で暮らす先住猫達に会うことができるようになりました。いつも微笑みを絶やさないゾビはついに先住猫達との初対面を果たし、新しいステージへと足を踏み入れることができたのです。

先住猫達はさっそくゾビにオモチャで遊ぶ方法を教え、一緒に食事をするようになりました。

特にゾビは黒白猫の『ジクリ』と仲良くなり、まるで今まで一緒に暮らしてきたかのように、いつもジクリの後を追うようになりました。また好奇心旺盛なゾビは無限のエネルギーで一日に何度もジクリのことをもみくちゃにしましたが、ジクリの方は決して怒ったりすることはありませんでした。

アーセンさんはいつも元気いっぱいに遊ぶゾビの姿を見ながら、幸せな気持ちに包まれているそうです。「私はゾビのような動物を助けることができることに大きな喜びを感じています。私は非常に困難な状況の中から変わっていく彼らの姿に心から幸せを感じています」とアーセンさんが話してくれました。

こうして非常に危険な状態で保護されたゾビは、決して諦めなかったアーセンさんのおかげで、新しい人生を歩み始めることができました。

今のゾビは愛らしい笑顔と幸せに満ちた姿で、家の至るところで喜びを放ち続けています。ゾビはずっと夢見ていた家族と共に充実した毎日を送っていて、常に全身で温かい愛情を感じているのです。
出典：zikrettinn／lovemeow