ある寒い日のこと、カナダに住むアニーさんが、家の庭で小さなトラ猫の姿を発見しました。子猫は身体に障がいがあるようで、身体をグラグラさせながら歩いていました。
心配したアニーさんが庭に出ると、子猫の近くにキジトラの子猫がいることに気づきました。
子猫の兄弟は小屋のカバーの下で寒さを凌いでいました。アニーさんが子猫達に近づいていくと、どちらの子猫にも歩行障害があり、キジトラの子猫は動こうとするたびに身体が大きく揺れることが分かりました。
子猫達がこのまま生きていくのは難しいと感じたアニーさんは、子猫達を救うための計画を立てました。アニーさんは食べ物を家の中から持ってくると、子猫達が近づいてくるのをじっと待ち続けました。その後、アニーさんは子猫達の母親も見つけて、無事に保護することに成功したそうです。
アニーさんは猫の親子を助けるために、SNSに親子のことを書き込みました。すると地元の保護施設『シャトン・オルフラン・モントリオール』がアニーさんの書き込みを見つけて、すぐに連絡をしてきたのです。
施設のスタッフはアニーさんの家に親子を迎えに行きました。その後、無事に母猫には新しい里親さんが見つかり、新しい家へと旅立っていったそうです。
一方、障がいのある子猫達は養育主さんの家で育てられることになりました。「子猫達はとても人間を恐れていました。子猫達は生後3ヶ月で、両方とも身体がグラグラしていました。特にキジトラの妹は、茶トラのお兄さんよりも重い運動障害を抱えていました」と施設のセリーヌ・クロムさんは言いました。
子猫達は新しい環境を恐れていたため、動物病院でもずっとくっついたままでした。子猫達はこれまでに人間との接触がほとんどなかったため、人間との生活に慣れるまでには少し時間が必要でした。
セリーヌさん達は子猫に『ポーチ(茶トラ)』と『ミラ(キジトラ)』と名づけました。
ポーチの方は徐々に人間に慣れていき、容器からご飯を食べて、水を飲んで、身体を撫でさせてくれるようになりました。しかしミラの方は、なかなか人間のことを受け入れようとはしませんでした。
「ポーチはすぐに自分の殻から出てきましたが、周りの動きに敏感で、時々パニックになって隠れようとしました。私達が初めて彼を抱きしめようとした時、彼はとても驚いたようでしたが、抱っこされるとすぐに落ち着いて、ゴロゴロと喉を鳴らして始めました。」
一度人間のことを受け入れたポーチは、一気に個性が輝き始めました。
「ポーチは少しグラグラしていますが、素早く動こうとしない限り、倒れることはありません。彼はタオルで包まれるのが大好きで、すぐに目を閉じて眠る準備を始めます。」
「ポーチは甘い男の子です。彼はずっと怖がりながら生きてきましたが、今はとても快適に過ごしていて、人間との時間を楽しんでいます。」
一方のミラは常に周りを警戒していて、大きな声で威嚇してきました。養育主さんは時間をかけてゆっくりと近づき、優しく話しかけて、ミラを落ち着かせていきました。
そして、養育主さんがミラのアゴを撫でた瞬間、ミラの感情が動きました。ミラは身体を撫でられることに幸せを感じたようで、威嚇の声を徐々に弱めていき、代わりに小さな音で喉を鳴らし始めたのです。
保護から数週間が経つと、ミラは完全に人間の愛情を受け入れました。ミラの目からは恐怖心が消えて、自分が愛されていることに幸せを感じるようになったのです。
「ミラは新しい環境に適応し、養育主さんに寄り添うのが大好きな子猫になりました。」
「ミラは歩いたり、食べたり、遊んだりすると身体がグラグラと揺れますが、とても元気に過ごしています。私達は彼女がこれまで、厳しい環境の中で生き抜いてきたことに非常に驚いています。」
とても強い意志を持ったミラは、優しい養育主さんのおかげですっかり抱っこ好きの子猫になり、毎日の暮らしに大きな幸せを感じているそうです。
こうして身体に障がいのある子猫達は、野外での厳しい環境を生き抜き、新しい人生を始めることができました。子猫達はこれからも安全な家の中でたくさんの愛情を注がれながら、幸せな毎日を送っていくことでしょう。
出典:Rescuechatonsmontreal/lovemeow
This post was published on 2019/03/09