今から3ヶ月前、ジェーン・ピアソンさんと夫が、購入を予定している中古物件の内覧にやって来ました。そして家の中に、1匹の猫が暮らしていることを知りました。
その猫はこの家の所有者だった89歳の男性の飼い猫でした。しかし男性は家を手放す時に、8歳の飼い猫を保護施設に連れて行く予定だったのです。男性は飼い猫に興味を持った夫婦に、「もしこの家を購入したら、猫も一緒についてくるよ」と冗談っぽく言いました。「私は男性の話を聞きながら、猫の話は本当だろうと感じました。そして私は猫のこれからがとても心配になりました」とジェーンさんは言いました。
「私はすぐに夫の方を見て、『この子をどこにも行かせてはダメ。私達はこの子を家族に迎える必要がある』と伝えました。夫はすぐに私の意見に賛成してくれました。」
猫は『ハイディー』と言う名前で、まだ子猫の頃に男性とその妻が保護した猫でした。ハイディーは男性の妻とすぐに絆を深めて、ふたりは完全に離れられない存在になったそうです。その後、男性の妻がアルツハイマー病を発症するまで、ハイディーはたくさんの愛情を注がれながら、しっかりと世話をされていました。
「男性の妻は、私達が家を買う8週間前に亡くなりました。彼女は昨年、介護施設でずっと過ごしていたそうです。男性は毎日彼女に会うために、ハイディーと一緒に施設を訪れました。ハイディーは毎回、大好きな飼い主さんに寄り添いながら、幸せそうにしていたそうです。」
「またハイディーが自宅で寝る時は、いつも男性の妻が使っていたベッドで眠っていました。ハイディーは常に彼女の猫でした。」
その後、妻を見送った男性も介護施設に入ることになったため、ハイディーを手放さなくてはならなくなりました。男性の子供達はハイディーに新しい里親さんを見つけようとしましたが、結局見つけることができなかったそうです。
その話を聞いたジェーンさんは、ハイディーを家族に迎えたいという気持ちがさらに強くなりました。「ハイディーは大切な人を失いました。さらに彼女は8年間暮らしてきた家も失おうとしていました。彼女はもう何も失う必要はありません。」
ジェーンさん達がこの家に入居した日、ハイディーはポーチの天井に身を隠しました。その後、ハイディーがジェーンさんの前に姿を現すまでには、数日もかかったそうです。
「私はハイディーが十分にご飯を食べていないのではないかと心配しました。そこで私は彼女が隠れている場所に上がって、彼女を抱え上げました。彼女は少し唸りましたが、決して噛んだりはしませんでした。彼女は家の中が変わっていることに動揺していたため、静かなスペースを作って、彼女を落ち着かせようとしました。」
ジェーンさん達には『アレサ』という名前の15歳の猫がいましたが、ハイディーが家族に加わったことを全く気にしていないようでした。でもハイディーの方はしばらくの間、自分の家を他の猫と共有することに納得していませんでした。
「幸いなことに新しい家は非常に奥行きがあり、彼らのスペースは分割されていました。突然同じ家で暮らすことになった2匹ですが、2匹が出会ってすぐに不思議なことがありました。アレサは元々家具の下に隠れるのが好きな猫でしたが、ハイディーと出会ってからはほとんど隠れなくなりました。どうやらハイディーとの出会いで、アレサが変わリ始めているようです。」
また、ジェーンさんの家族には犬の『アンバー』もいました。とても社交的なアンバーは、新しい友達ができることに興奮しているようでした。「アンバーとハイディーはゆっくりと距離が縮まってきています。少し前には、2匹が初めてソファーの上を共有しました。アンバーがソファーに飛び乗った時、ハイディーはいつもと違って、その場から逃げようとしませんでした。」
ハイディーとの生活に気持ちが高まっている家族ですが、中でも一番興奮していたのが、動物好きのジェーンさんの娘でした。
「私達は娘に、ハイディーがまだ新しい環境に慣れていないことを伝えました。そして、ハイディーと仲良くなるためには、ハイディーと接する前には必ず自分の匂いを嗅がせて、安心させる必要があることを教えました。娘はそのことをしっかりと守っていて、ふたりは少しずつ友達になっています。」
出会って1ヶ月が経つ頃には、ふたりは随分と仲良くなり、毎晩一緒のベッドに入るようになりました。さらにふたりは昼寝友達にもなったそうです。
「ハイディーは夫にも随分と心を開きました。そのため夫がソファーに座っていると、ハイディーが隣で丸くなって、満足そうに喉を鳴らすようになりました。」
「そして今から2週間前、ハイディーはついに私達と一緒に遊ぶようになりました。ハイディーは新しい生活に居心地の良さを感じているようで、確実に自分の殻を破り始めています。」
「私はハイディーの姿を見守りながら、彼女が今の生活にどれくらい安心しているかをよく考えます。現在、私が机で仕事をしていると、彼女がやって来て、膝の上を要求してきます。私は彼女の日々の変化に、大きな喜びを感じています」とジェーンさんは嬉しそうに話してくれました。
こうしてジェーンさん達と暮らし始めたハイディーは、少しずつ家族のことを信頼するようになってきました。ハイディーは現在、家族から注がれる愛情に幸せを感じていて、日に日に家族との絆を深めていっているのです。
出典:Jane Pearson/lovemeow
This post was published on 2019/01/31