今年の始め、クリスティン・マーさんが仕事をしていると、地元の消防士から電話がかかってきました。なんとクリスティンさんの家に火がついていると言うのです。その話を聞いたクリスティンは、家の中にいる犬の『クロエ』と、猫の『リンガー』と『スモーク』のことを考えました。
さらに消防士は、家の中にクロエが横たわっているのとクリスティンさんに伝えてきました。「クロエは洗面所で横たわっていたそうです。クロエはその場所は一番安全だと思い、駆け込んだのだと思います」とクリスティンさんは言いました。
消防士はクリスティンさんに、クロエの状態だ非常に危険なことを伝えてきました。消防士達は犬用の酸素マスクを持っていなかったため、人間用の酸素マスクで何とかクロエを蘇らせることに成功したのです。
さらに消防士達は猫のスモークを家の中で見つけました。しかし、残念ながらスモークは既に息を引き取っていたそうです。
クリスティンさんが猫のリンガーのことを聞くと、消防士はリンガーの姿がどこにも見当たらないことを伝えてきました。そして、リンガーは火事の中で死んでしまったのかもしれないと言われたそうです。
リンガーとクロエは最高の親友でした。2匹は共に内気な性格でしたが、お互いのことが大好きで、いつも一緒にいたのです。クリスティンさんは猫達を失った悲しみに耐えながら、クロエが早く回復するように全力を注ぎました。
クリスティンさんは火事の後も、焼かれた家に毎日戻り、納屋で飼っていた猫達にご飯を食べさせました。そして、僅かな可能性を信じて、リンガーの名前を呼び続けたのです。
「私は毎日リンガーの名前を呼びました。私は彼が火事で死んだとは思っていませんでした。」
しかし、数週間経ってもリンガーを見つけることはできませんでした。そのためクリスティンさんは、リンガーはもう戻ってこないと思い始めたのです。
そして、火事から2ヵ月後の母の日に、クリスティンさんは久しぶりに自宅の中に入りました。この2ヵ月の間にクリスティンさんの夫が、自宅を修復していたのです。家の中もキレイに掃除されていて、歩くことができるようになっていました。
夫婦がクロエと一緒に自宅に着くと、クロエはすぐに床の匂いを嗅ぎ始めました。夫婦はその行動を普通のことだと思っていましたが、今度はクロエが床を引っ掻き始めたのです。
夫婦はクロエの後を追い、ダイニングルームに着きました。そこには大きな隙間があり、家の床下まで続いていたのです。クロエはその隙間に頭を押し込んだまま動かなくなりました。夫婦はクロエを引っ張りましたが、クロエは決してそこから動こうとしなかったのです。
不思議に思った夫婦は、隙間の下を調べることにしました。するとそこから「にゃーにゃー」と猫の声が聞こえてきたのです。
夫婦は最初、納屋で暮らす猫が、家の修復中に床下に入り込んでしまったのではないかと考えました。そこでクリスティンさんがクロエを車に戻している間に、夫が床下にいる猫を助け出すことにしたのです。そして、クリスティンさんが家の中に戻ってくると、そこにはリンガーの姿があったのです!
リンガーは夫婦と再会できたのが嬉しくて、力一杯すり寄ってきました。
夫は最初、助け出した猫がとてもやせ細っていて埃まみれだったため、リンガーだとは思わなかったそうです。しかし、リンガーのシッポの辺りには炎で焦げた跡があり、それが火事の中で床下に逃げ込んだ証拠になったのです。
リンガーは約2ヵ月間、食べ物と水なしで生きてきたため、とても衰弱していました。そのため夫婦はリンガーを救い出すとすぐに、動物病院に連れて行くために車の中へと運び込みました。
車で待っていたクロエは、リンガーの姿を見て喜びを爆発させました。それまで後部座席に座っていたクロエは、リンガーを抱えるクリスティンさんに飛びついてきたそうです。
リンガーを調べた獣医さんは、夫婦の話に熱心に耳を傾けました。そして、「この猫は奇跡の猫だ」と言ってきたそうです。
リンガーは現在、夫婦と一緒に帰宅して、日に日に回復しています。食べたり飲んだりするのに少し苦労していますが、大好きな家族に囲まれて、とても安心しているそうです。
クロエもリンガーと再び暮らすことができて幸せいっぱいです。クロエは片時もリンガーから離れたくないようで、いつもリンガーと一緒の時間を過ごしているそうです。
出典:Christine Marr
This post was published on 2017/05/21